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黒瀬地区の大きな祭りといえば、8月の笹踊りと、10月の秋祭りの獅子舞でした。
丹 正氏 |
旧暦の7月15日には、天正の陣(豊臣秀吉の四国征伐)で戦没した黒瀬飛騨守(くろせひだのかみ)を追悼するため、飛騨守神社で「笹踊り」が行われていました。地区の青年たちが、七夕のような大笹(若竹)を持ち、両側に立ち向かうように並び「ナンマイダーヤ、ノッポイダーヤ」と唱えながら、最初は静かに打ち合っていますが、だんだんと気合が入ってくると激しく打ち合うようになります。周りから見ているとかなり危険に見えたようですが、この踊りでけが人が出たことはありませんでした。 笹踊りが終わると、枝を折り取って、悪魔よけの印として家に持ち帰る風習がありました。この祭りは昭和30年代に一度復活しましたが、自然消滅となり、現在は行われていません。 |
また、10月14~15日の秋祭りには、獅子舞が祭りを盛り上げてくれました。上黒瀬が雄の獅子、下黒瀬が雌の獅子でした。獅子舞には、なぶり子、獅子使い、地太鼓打ち、獅子の着物をあおぐ人などがいて、各組総勢10名ほどが2日間をかけて一軒一軒廻っていましたが、黒瀬集落がダムに水没したため現在は行われていません。 今では、黒瀬出身者で「黒瀬獅子舞保存会」が結成されており、毎年11月初旬に西条市河原津東予運動公園の特設会場で行われる「西条獅子舞フェスティバル」に参加しています。10月に入ると黒瀬峠の高台にある森岡神社(移転後の神社)で、獅子舞の練習を行なっています。黒瀬出身者らは、「同フェスティバル」に参加した自分たちの獅子舞を見て、昔を懐かしんでいます。 |
丹 巡氏 |
黒瀬獅子舞保存会
西条獅子舞フェスティバル(平成20年11月)