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自噴は、帯水層の上下に難透水層が分布して地下水が被圧し、そのときの地下水位が、地表面より高い場合におきる現象です。
西条平野の自噴機構は、次のように考えられます。
多くの被圧地下水は、被圧されているが自噴までには至りません。しかし、西条平野の下部帯水層(Lg層)の地下水は、(1)難透水層の分布に加えて、(2)行く手を遮る鉛直方向の壁の存在により、地表面を超えるエネルギーを有しています。
なお、この二つの地質構造があって、自噴帯を形成する可能性があるわけですが、ここに、豊富な水量を湛える加茂川が加わって初めて自噴が成立することになります。
また、自噴には、下部帯水層(Lg層)からの揚水や、帯水層間、各地下水盆での地下水のやりとりなどが複雑に関係しています。地下水の均衡には、そういった環境下において時々刻々形成されているため、西条平野では、自噴量の変化によって地下水の状況(過不足)を把握することが可能といえます。
西条平野の自噴井戸は、北が推定断層、南が加茂川扇状地の扇端部、西が猪狩川、東が室川扇状地の西側先端部で区切られます。東西約5,600m、南北約400~2,200mの範囲(約800ha)に分布しており、内陸地下水盆に位置しています。
※市町村合併後、今在家、北条地区でも自噴することが確認され、西条市の海岸部において、調査の範囲を広げていく必要があると考えています。