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水の歴史館 石鎚山系のサンショウウオ

ページID:0070430 更新日:2015年1月15日更新 印刷ページ表示

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石鎚山系のサンショウウオ

サンショー博士

 みなさん、「サンショウウオって知っていますか?」と聞かれたら、「あぁ、あの1mくらいの大きいやつね。」と思われるのでは・・・。実は日本にはサンショウウオの仲間が19種もいて、大きいオオサンショウウオと、あと10cmから20cmくらいの小型のサンショウウオが18種類もいるのです。意外に多いと思われる方も多いのではないでしょうか?また、「小さいサンショウウオなんて、どんなの?」実物を見た人は、ほとんどいないのでは・・。
 と言うのも日本のサンショウウオは、

  • 高温に弱い(だいたい、20℃前後が好き。25℃を越すと弱ります。高山や丘陵地に生息)
  • 成長して陸上にあがったサンショウウオは昼行動しない。(繁殖期以外は、土の中・落ち葉や苔の下・倒木、石の下などに隠れているので、見つけるのは非常に困難。)

そんな特徴があるからです。
 そんな非常にデリケートなサンショウウオが、西条市の石鎚山系には、3種類も生息しています。それは、きれいな水と豊かな自然が守られているからでしょう。

石鎚山系に生息するサンショウウオ

オオダイガハラサンショウウオ

オオダイガハラサンショウウオ
(サンショー博士撮影)

  • 体の色はきれいなナス色
  • 大きさは20cmくらいになる
  • 標高1,000m以上のところで比較的よく見られる
  • 石鎚山系の代表的な種
ハコネサンショウウオ

ハコネサンショウウオ
(サンショー博士撮影)

  • 体の色は黒で背中に朱の縦ラインがはいる
  • 標高の高い沢の源流付近で見られる
  • 唯一肺を持っていないので皮膚呼吸をする
ブチサンショウウオ

ブチサンショウウオ
(立脇康嗣氏提供)

四国のブチサンショウウオは謎が多くサンショー博士も実物に遭遇していません。

愛媛県では卵のう(卵の塊)と幼生の正確な記録はありません。

 このような魅力的なサンショウウオですが、既に愛媛県のレッドデータブック(絶滅のおそれのある野生生物リスト)には3種類とも掲載されています。
 それは、前にも述べましたように、サンショウウオは、「陸」と「水場」がなければ生き続けることができない「デリケートな生き物」だからです。汚れた土も汚れた水も、サンショウウオの命を奪ってしまいます。
 空気の状態の変化にも敏感です。気温が長い間上がったままなら、生息地全体が乾いてしまったり、繁殖地の水場が干上がったりしてしまいます。
 当然、他の生物とのつながりも大切です。
 「敵になるような生き物」が増えれば、生きのびるのは難しくなります。
 「餌になる小さな生き物」がいなければ、サンショウウオたちは死んでしまいます。
 サンシヨウウオは環境の変化に弱いと言えます。他の生き物が住みにくい環境では生きていけないし、住みにくくなってもあまり移動できない。水と土と空気の環境変化を直に受けてしまう生き物なのです。
 このことから、「サンショウウオが生息している場所は、他の生物にとっても良い環境ではないか?」「サンショウウオがいる場所は、自然環境が安定しているんじゃないか?」と考えることができます。
 サンショウウオは、ある場所の環境が、「生き物にとって住みやすいか・安定しているか」知るための「めやす」となる生き物「環境の指標性が高い生物」と言われています。
 サンショウウオが生きていけるような環境を守り続けることが、「人間を含めた、いろいろな生き物を守ること」につながると考えられています。
 ですから、サンショウウオの保護=自然保護にもつながるし、逆もまた真なりなのです。
 みなさんも、ぜひ石鎚山系に出かけて、小さな沢とかをのぞいてみてください。
 そこには、かわいい幼生がいるかもれないし、曇った日なら、ばったり道で成体に出会うかもしれません。
 この自然豊かな石鎚山系の自然環境を、みなさんと一緒に守っていきたいものです。

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