ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 市長の部屋 > 市長の部屋-令和6年度施政方針

本文

市長の部屋-令和6年度施政方針

ページID:0109041 更新日:2024年3月6日更新 印刷ページ表示

持続可能都市2050の実現に向けて

チャレンジを応援するまち

 令和6年西条市議会3月定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し述べ、議員各位、並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。

 まず、元日に発生した石川県能登地方における最大震度7を記録する「令和6年能登半島地震」によって被災し亡くなられたすべての御霊に哀悼の誠を捧げるとともに、被害に見舞われ、厳しい生活を送っておられる皆さまに、衷心よりお見舞い申し上げます。本市としましても、県等とも連携し順次被災地に職員を派遣し、避難所運営の支援や広域避難の支援を行うとともに、保健師や管理栄養士についても、要請があれば派遣できる体制をとっております。今後とも、被害に遭われた能登半島に暮らす皆様に心を寄せ、日常生活の回復と再建の力になれるよう、本市ができる最大限の支援をしてまいりたいと考えております。

 さて、令和2年から続いた新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に感染症法上の位置付けが「5類感染症」となり、行動制限等が緩和され、さまざまなイベントや行事が再開されました。約4年間、感染拡大防止のために、多大なご尽力を頂いた医療関係者の方々や市民の皆様に、改めて心から感謝申し上げますとともに、引き続き私達ができる感染症予防の励行について啓発に努めてまいります。

 また、本市は11月1日に合併20周年という記念すべき節目を迎えます。より多くの市民の皆様に記念事業に参画いただき、新型コロナウイルス感染症により停滞したコミュニティや、人と人、さらには地域とのつながりを今一度見つめ直す機会とし、郷土への愛着と誇りがさらに醸成されることを願っています。

 他方、国際的には、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ間の紛争などがあり、政治的な緊張とそれに伴う国際社会の不安定な状況は、今後もしばらくは続くことが予想されます。また、経済面においては、コロナ禍の収束による経済活動の正常化に伴い、日本経済は回復基調となりましたが、足元には物価高騰や人手不足の問題を抱えています。この物価高騰等は、地域産業全体に大きな影響を及ぼし続けていることから、「地域活力の源泉は産業にあり」を標榜する本市においても、地域の事業者の生の声を聴きながら、一次産業における六次産業化をはじめ、あらゆる産業において生産性向上、省エネルギー化等に向けた支援を行うことで、雇用創出、売上げ向上、高付加価値化など事業活動の継続、発展につながるよう努めてまいります。

 このように世界情勢の先行きが不透明な中ではありますが、明るい話題もありました。昨年3月に、本市の「石鎚黒茶の製造技術」が、国の重要無形民俗文化財に指定されました。かつて小松町石鎚地区で作られていた石鎚黒茶は、発酵茶の伝承や製茶技術の変遷を理解するうえで重要であるとして、本市では初めて、県内でも42年ぶり2例目に指定されました。また、来年開催予定の「大阪・関西万博」の関連事業として実施された「万博弁当」プロジェクトにおいて、食材の一つとしても選ばれたところであります。今後は、学生や生産団体などとも連携を図りながら、さまざまな形で石鎚黒茶をアピールすることで、重要無形民俗文化財として、保存・継承を支援してまいります。

 また、昨年10月には、本市の地元企業により「うちぬき」を活かしたクラフトビールの製造・販売が開始されました。今後においても、地元産の裸麦や小麦、米、果物などを使った新商品開発を目指すと伺っており、本市としては、西条の魅力の詰まった新たな産品として発信することはもとより、「チャレンジを応援するまち」としてこのような新たな取り組みに対し、支援をしてまいりたいと考えております。

任期2期目の振り返りと今後の展開

 さて、市長として任期2期目の取組について、公約ごとに振り返りますと、「市民主役の西条の実現」に向けては、地域自治組織設立に向けた取組やローカルファンドの推進を図ってまいりました。また、地下水保全条例の制定など、持続可能な地域社会の実現に向けての取組を展開してまいりました。「住みたい西条の実現」に向けては、移住×プロモーション事業やアクアトピア水系でのイベントを実施するとともに、公共交通の見直しなど、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らせるような取組も行ってまいりました。「夢が持てるまち西条の実現」に向けては、西条市SDGs推進協議会と連携したLOVE SAIJOポイント事業の活用や老朽化する公共施設を縮充の発想のもと「SAIJO BASE」の整備を行ってまいりました。

 また、「(仮称)東部給食センター」の整備や将来に向けた学校規模の適正化の検討など、次世代を担う子どもたちの教育環境の充実に向けた取組を推進してまいりました。「つながり広がる西条の実現」に向けては、シティプロモーション活動としまして、総務大臣賞を受賞した「広報さいじょう」の発行や台湾への農産物の販売促進、さらには、十河信二と妻キクを主人公としたNHK朝ドラ誘致に向けた要望活動等、本市のPRはもとより、観光振興やふるさと納税などを通じた関係人口の増加につなげてまいりました。

 「市民と進める行財政改革の実現」に向けては、総合支所方式から本庁方式への移行やごみ処理施設の広域化に向けた検討のほか、ごみの減量化に向けた取組も行ってまいりました。また、DXの推進において、窓口業務改革の一環として、「おくやみ窓口」をスタートし、持続可能なまち西条の実現に向けて、市民目線に立った改革を行ってまいりました。「市民ファースト」の取組としては、防災・減災対策に加え、SDGs未来都市計画に掲げた2030年のあるべき姿の実現に向け、環境施策や子育て支援策など持続可能なまちづくりに資する取組を積極的に行ってまいりました。

 このような中、私は、今年の意気込みを表す漢字として「成」を選びました。「成」には 文字通り「成し遂げる、作り上げる、仕上げる」という意味があります。任期2期目の最終年として、第4コーナーを回り、ゴールを目指してラストスパートとなる仕上げの年となりますので、これまで市民の皆様とともに育ててきた施策を成就させるとともに、新たな課題につきましては、具体案を示すところまで、責任を持ってやり遂げる一年にしてまいります。

次代に繋ぐ、未来(あす)へ繋ぐ

 さて、本市においては、新年度に「第2期西条市総合計画」並びに「西条市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が計画期間の最終年度を迎えます。昨年、国立社会保障・人口問題研究所が公表した2050年における本市の将来推計人口は76,692人、高齢化率は42.2%と予想されており、これまで公表されてきた推計値と比較し、人口減少のスピードが緩やかになっていることがわかりました。これは、本市が積極的に取り組んできた移住・定住や若者世代を中心としたUターンによる社会増の実現を目指す取組に重点を置いてきた成果であると考えております。引き続き、本市がターゲットとする子育て世代や若者世代、Uターンを希望する学生等に対し、質の高いアプローチを行うことにより、住んでみたい、住み続けたいまちを目指してまいります。

 他方、将来を担う子どもたちにとって、大変重要な課題となっておりますのが、学校規模の適正化等に向けた検討についてであります。全国的に少子高齢化が進む中、本市においても人口減少とともに、児童生徒数も減少しております。市内小中学校では学校の小規模化、学級の少人数化が進行しており、教職員の配置など教育環境に様々な課題が生じております。学校教育においては、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人一人の資質や能力を伸ばしていくことが重要であり、小・中学校では一定の規模が確保されていることが望ましいと考えられることから、学校規模の適正化等を図ることが喫緊の課題となっております。

 こうした状況を踏まえ、昨年1月の総合教育会議において、学校規模の適正化に向けた検討を行うことを決定し、4月に「学校規模適正化等に関する検討委員会」を教育委員会事務局内に設置、9月に全庁横断的組織として「小・中学校の適正規模等検討委員会」を設置し、調査研究や協議検討を進めてまいりました。本年4月からは、教育委員会の附属機関として、外部有識者、保護者や地域住民、学校関係者などからなる審議会を設置し、審議会からの答申もいただきながら、子どもたちにとってより良い教育環境の実現を目指してまいります。

 さて、私は、今年度を本市が求める持続可能なまちづくりに向けて一歩ずつ確実に歩みを進めていくことができるよう、「Step by Step(ステップ・バイ・ステップ)」をキャッチフレーズとして掲げ、「持続可能都市西条2050」の実現に向け、2つの方針を柱に種々の施策に取り組んでまいりました。

 一つ目の「持続可能な西条市の実現に向けた事業の本格化」につきましては、公民連携による「共助」の枠組み形成の推進主体となる西条市SDGs推進協議会を中心に、LOVE SAIJOプラットフォームを活かしたまちづくりの基本的な仕組みを構築し、「持続可能都市西条2050」の実現に向け、取り組んでまいりました。今後においても、行政のみならず、企業や団体など様々な主体が参画する公民連携の枠組みを更に活性化することにより、市民総参加による機運醸成を図り、特に若者世代を中心とするまちづくり参加を促進してまいります。

 また、新年度は、合併20周年記念事業の大きな目玉として、アクアトピア水系において、SDGsの達成を事業理念に掲げ、17のゴールに関連した「環境」や「健康」などをテーマに市民参加型のイベントを開催する予定としております。開催にあたっては、ご参加いただく幅広い世代の方々にアクアトピア水系を中心に周辺エリアも回遊できる工夫を施しながら、イベント中のブース販売等においてポイント還元を行うなど、集客力のあるイベントとなるよう取り組んでまいります。これらによって、より多くの市民に対しSDGsの認知度向上を図りながら行動変容を促すとともに、未来志向を意識したイベントにすることで、持続可能なまち西条の実現に向けた市民の機運とシビックプライドの醸成、さらにはアクアトピア水系のにぎわいの創出を図ってまいります。

 二つ目の「中長期的な展望を見越した抜本的な経営改革への着手」につきましては、昨年8月に、こども家庭庁を訪問し、出生時における手続のDXの取組について紹介をしてまいりました。この取組は、これまで市民課・国保医療課・子育て支援課など複数の窓口を訪れ、様々な申請用紙に住所・氏名など同じ内容を何度も記入する必要があった出生時の手続を、タブレット端末を使いひとつの窓口で完了できるワンスオンリー・ワンストップを目指すもので、出産直後の保護者の負担軽減、さらには、本市が目指す「SDGs×DX」の推進にもつなげてまいりたいと考えております。

 また、窓口業務については、事務の効率化及び市民サービスの向上とともに、誰もがデジタル技術の恩恵を受けられる窓口改革を推進することにより、10年後のビジョンである「時間や場所にとらわれない手続ができる市役所」に向け、「書かない窓口」「待たない窓口」の実現を目指し、「おくやみ窓口」や「出生窓口」の手続ワンストップ化も含めて、市民サービスのさらなる向上に取り組んでまいります。

 以上のような施策に加え、「災害に強いまちづくり」を目指して、防災対応力の向上にも努めてまいります。本市において昨年8月に発生した県内初の「線状降水帯」による大雨や「能登半島地震」など、いつ災害が発生してもおかしくない状況であることを改めて認識することとなりました。また、今後30年以内に70~80%程度の確率で発生が予想される南海トラフ地震、全国で頻発・激甚化している自然災害、そして新型コロナウイルス感染症をはじめとする大規模感染など、あらゆる危機事象に対応可能な「災害に強いまちづくり」に向けて、市民の皆様が自分事として考え行動して頂けるよう、積極的に防災・減災対策の充実強化に取り組んでまいります。

 さて、令和6年の干支は、「甲辰(きのえ・たつ)」であります。「甲(きのえ)」は、物事の始まり、成長を意味し、「辰(たつ)」は、色々なものが整って勢いが増す、活気づくという意味があると言われています。この組み合わせから、物事が芽吹き、姿を整え、成長していくと言われ、縁起の良い年になると言われております。種をまき、水をやり、堆肥をまいて、これまで育ててきた施策・事業を成長させ、花を咲かせることができるよう、令和6年度は、「次代に繋ぐ、未来(あす)へ繋ぐ」をキャッチフレーズとして掲げることにより、「持続可能都市西条2050」の実現に向けて、覚悟を持って各種施策に取り組んでまいる所存です。

令和6年度予算編成概要

 それでは、引き続き、令和6年度の予算編成の概要につきまして、ご説明申し上げます。

 まず、新年度における財政環境でありますが、市税収入につきましては、個人市民税は定額減税により減収の見込みとなったものの、四国電力株式会社西条発電所1号機のリプレースに伴う償却資産の増加により、固定資産税が大幅に増収の見込みとなったことなどから、市税全体の当初予算額は、合併以降最大の168億2,916万4千円の見込みとなっております。

 一方、歳出につきましては、人件費、扶助費、公債費からなる義務的経費の増加に加え、「(仮称)東部給食センター」の整備や「やすらぎ苑」の改修など、市民生活を維持するために避けることのできない大型施設の整備・更新等に要する投資的経費についても大幅に増加するなど、依然として厳しい財政運営を求められるものと受け止めております。

 このような中、令和6年度の予算編成に当たっては、引き続き歳入水準に見合った歳出構造への転換に向けた「歳出改革」に取り組む一方で、計画の最終年度を迎える「第2期西条市総合計画」並びに「西条市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の着実な推進を図るとともに「持続可能なまち西条」の実現に向けた各種施策について積極的な予算措置を行いました。

 その結果、新年度の当初予算案は、一般会計で517億8,000万円の合併以降最大の予算規模となり、これを令和5年度当初予算と比較しますと、金額で60億1,000万円、率にして13.1%上回る規模となりました。

また、特別会計全体の予算規模は269億2,615万9千円で、企業会計は81億3,832万円となり、一般会計と合わせた全会計では868億4,447万9千円となり、これを令和5年度当初予算と比較しますと、金額で74億9,134万1千円、率にして9.4%上回る規模となっております。

令和6年度の主要事業

 それでは、新年度の主要事業につきまして、まちづくりの基本目標である施策の大綱に沿ってご説明申し上げます。

健やかに生き生きと暮らせる福祉のまちづくり

 第1点目は、健やかに生き生きと暮らせる福祉のまちづくりであります。

 「健康づくりの推進」につきましては、

 がん対策が市民の生命及び健康にとって重大な課題であることを受け、「西条市がん対策推進条例」に基づき、「骨髄バンクドナー支援事業」と「ヘリコバクター・ピロリ感染検査事業」を「がん対策推進事業」に一本化するとともに、医療用補整具購入費支援の拡充を図るなど、総合的かつ一体的ながん対策の推進に取り組んでまいります。また、市内体育施設について、安全で快適な体育施設の管理運営を図るために、総合体育館の照明のLED化など、緊急性のある施設や備品の修繕及び改修を順次実施してまいります。さらには、公営プールを含めた全体的な体育施設のあり方についても、人口規模や地域特性などを考慮に入れながら、施設の縮充に向けた検討を行ってまいります。

 「福祉の充実」につきましては、

 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業において、高血圧症が重症化するリスクの高い方に対して、適切な受診や治療、保健指導などの予防プログラムを新たに実施することにより、高齢者の健康増進及び介護予防に取り組んでまいります。また、福祉基金事業において、障がい者支援として、医療的ケアが必要な方に対して停電時等の電源確保のために非常用電源装置等購入費用の補助を新たに行うなど、障がい者が自立した日常生活を送ることができる環境づくりに努めてまいります。

 「子育て環境の充実」及び「医療体制の充実」につきましては、子どもの医療費について、現在は中学3年生までとなっている無償化の対象を、新年度から高校生世代まで拡大することにより、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ってまいります。また、市内の児童館等において、木工ワークショップの開催や西条産材の木製おもちゃを設置することにより、木に親しむことができる子育て環境の整備を進めてまいります。さらに、産前産後ヘルパーの派遣について、子どもの対象年齢などを拡充することにより、子育て家庭の育児及び家事の支援を行うとともに、結婚や妊娠・出産を望む人がその希望を叶えられ、安心して子育てができる環境をつくるために、若年出産世帯を対象に、育児用品の購入に要する経費に対する補助も行ってまいります。加えて、保育所等を利用している子どもの保護者や保育士の負担を軽減するために、紙おむつの定額利用(サブスクリプション)サービスを導入する施設に費用の一部を助成するとともに、保育所等において地域住民や子育て経験者など地域の多様な人材を保育に係る周辺業務に活用することを支援することで、保育士等の働きやすい職場環境の整備に繋げ、保育体制のさらなる強化を図ってまいります。

 医療体制については、持続可能な本市の地域医療提供体制の構築を進めるために、「(仮称)西条市地域医療の在り方検討会議」を設置し、医療関係者と行政が本市の地域医療における課題意識を共有するとともに、克服すべき課題となる医師や救急医療体制の確保・医療の質の向上に向けて取組をすすめてまいります。

豊かな自然と共生するまちづくり

​ 第2点目は、豊かな自然と共生するまちづくりであります。

 「水資源の保全」につきましては、市民や事業者などで構成される「西条市地下水保全協議会」において、「地域公水」の理念に基づき、地下水の将来ビジョンや目標を達成するために必要な施策等について検討・協議するとともに、地下水の調査やモニタリングなどの活動を実施することにより、地下水の保全や適正な管理に努めてまいります。

 「生活環境の整備」につきましては、環境保全と市民生活を守るため、合併処理浄化槽設置費等の補助を拡充してまいります。これにより、市民がより安定的かつ継続的に合併処理浄化槽の設置や合併処理浄化槽の維持管理に取り組むことができる環境を整備してまいります。今後においても、地域全体でより良い水環境を実現し、市民が安心して快適な生活を送ることができるよう取り組んでまいります。

 「環境資源を活かした地域づくり」につきましては、人類共通の課題として地球温暖化対策が求められる中、地域の脱炭素化に向けて、市民や事業者と緊密に連携し、省エネルギー化の推進や太陽光発電など再生可能エネルギーの導入、適切な森林整備を通じた二酸化炭素吸収源の確保などに取り組むために、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を本日ここに表明し、「持続可能都市西条2050」の実現に向けた様々な施策を推進してまいります。

 「上下水道の整備」につきましては、近年の異常気象により、全国各地で豪雨等の影響による水害や土砂災害が発生したことにより、人命や社会経済への甚大な被害が生じていることを受け、雨水ポンプ場や雨水幹線水路の整備による雨水の流下能力の向上を図るなど、中心市街地の浸水対策を行ってまいります。

快適な都市基盤のまちづくり

​ 第3点目は、快適な都市基盤のまちづくりであります。​

 「交通体系の整備」につきましては、持続可能な交通体系の構築を図るため、「西条市地域公共交通計画」に基づき、既存の交通体系の見直しを行い、本年10月からの西部地域のバス路線の再編に伴う代替交通の導入を進めてまいります。

 「市街地の整備」につきましては、今後の人口減少を見据え、集約型都市構造の形成に向けた方向性を明確に示し、これまで形成してきた都市構造に基づき、拠点を中心とした都市機能の集積と交通ネットワークの構築を進めるために、「西条市都市計画マスタープラン」の見直しを行ってまいります。

 「港湾・河川の整備」につきましては、浸水被害の解消及び軽減を目的に、過去に浸水被害があった地区から選定した重点地区を対象に、排水施設の改修や整備を行ってまいります。また、河川流域の安全・安心を確保するために、大雨等による氾濫被害や土砂流出の危険性が高い河川を対象に、護岸等の改修も行ってまいります。

災害に強く安全で安心して暮らせるまちづくり

​ 第4点目は、災害に強く安全で安心して暮らせるまちづくりであります。

 「防災・減災対策の強化」につきましては、施設の機能強化と集約化を目的に、消防団拠点施設の更新整備を実施することにより、地域の消防力及び防災力の充実強化を行ってまいります。また、「能登半島地震」を始めとする近年の災害において、高齢者や障がい者が高い割合で犠牲となっていることを受け、本市においても、災害時における迅速な避難支援につなげるために、高齢者や障がい者等自ら避難することが困難な避難行動要支援者ごとに福祉事業者の参画を得て「個別避難計画」を作成するとともに、「能登半島地震」の被災地における避難所運営の支援等の経験から得られた知見等を避難所運営に活かすことにより、「誰一人取り残さない防災」の実現を目指して、本市の実情に即した防災訓練や防災啓発にも取り組んでまいります。

豊かな心を育む教育文化のまちづくり

​ 第5点目は、豊かな心を育む教育文化のまちづくりであります。

 「学校教育の充実」につきましては、グローバル化が急速に進展する中で、様々な分野で活躍できる「心豊かにたくましく生きる西条っ子」の育成のため、ALTの増員により児童生徒の英語力の向上を図ります。ALTについては、従来はJETプログラムからの派遣と直接雇用のALTとしておりましたが、新たに民間からの派遣を受け、指導力も有するALTから学ぶことにより、「生きた英語」の習得を目指してまいります。施設整備については、現在取り組んでいる小・中学校校舎の長寿命化整備として、「小松小学校校舎」の整備完了を目指すとともに、本市では初となる小学校と社会教育施設の複合化を予定している「神戸小学校校舎」の改修に向けた準備を進めてまいります。また、PFI事業で実施する「(仮称)東部給食センター」の令和7年9月からの供用開始に向け、本体工事に着手してまいります。さらには、ICT教育の推進のうえで核となる指導者用デジタル教科書の更新や、今後の水泳授業のあり方を検討するモデル事業として、一部の小中学校における水泳の授業を民間のスイミングスクールに委託するなど、将来の新たな学習環境の構築に向けた事業を進めてまいります。

 「人権・同和教育の推進」につきましては、人権教育・啓発をより効果的に推進するために、「人権問題に関する市民意識調査」を実施し、市民の皆様とともに、人権文化の根付いた明るく住みよい西条市の実現を目指してまいります。

活力あふれる産業振興のまちづくり

 第6点目は、活力あふれる産業振興のまちづくりであります。

 「農業の振興」につきましては、農地の効果が増進され事業効果の上がる農業用施設に対して新設・改良を行ってまいります。また、長年の豪雨等や経年による老朽化が見られる施設についても、機能診断を行い、機能保全計画を策定することにより、長寿命化対策を行ってまいります。

 「林業の振興」につきましては、小学生を対象とした木育及び育水教育に関するタブレット用学習教材を作成し、市内小学校において活用することにより、子どもたちの森林や林業への関心を高めてまいります。また、次世代へ豊かな森林資源を受け継ぐために、本市の森林整備の方向性を示した「(仮称)西条市森林ビジョン」の策定に向けて検討を進めてまいります。

 「企業活動の活性化」及び「新規産業の創出」につきましては、昨今の人材不足や燃料費をはじめとする物価高騰など影響を強く受けている市内事業者の実情を鑑み、生産性向上に資する設備投資や競争力強化のための人材育成、知的財産権の取得等を支援するとともに、各種専門家等による支援体制をもって、人材確保のための事業者の取組や事業承継など経営課題の解決に向けた支援を行うほか、創業支援にも取り組み、地域産業の「稼ぐ力」の強化につなげ、持続的な成長・発展を目指してまいります。さらに、販路拡大のため、事業者の新たな商品開発や国内での商談会参加を支援することなどに加えて、令和3年度から令和5年度まで実施した台湾交流推進事業により培われた支援機関のノウハウや現地機関等との関係性などを活かした台湾展開など、引き続き、農商工連携や西条ブランドの構築・推進を図ってまいります。

 「観光産業の創出」につきましては、コロナ後の旅行スタイルの変化を踏まえたうえで、いしづちエリアにおいて様々な分野で活躍する人材のスキルや趣味、ライフスタイルなどの特徴を活かした独自の滞在コンテンツと、それに共感する観光客等とのマッチングを可能とするプラットフォームを構築することにより、本市における交流人口や関係人口の拡大につなげてまいります。

 「西条の価値や魅力の向上」につきましては、合併20周年記念事業として、多くの市民が参加できるイベントの開催やテレビなどのメディアを活用した本市の魅力発信等を行うことにより、全国的な認知度の向上、市民のまちへの愛着や誇りの醸成と将来的な定住に加え、様々な形で本市に関わる関係人口の増加を目指してまいります。

構想の実現に向けて

 以上の施策に加え、山積する地域課題を共有し、解決に向けて取組を進めていくためには、協働によるまちづくりを推進することが重要であります。

 これまで取り組んできた地域自治の推進につきましては、引き続き、地域の状況に応じて地域自治組織設立に向けた支援を行ってまいります。また、地域課題の解決を目指すチャレンジを地域で応援しあえるまちの実現のため、西条市版ローカルファンドの推進を図ってまいります。

 「時代の変化に対応した地域づくり」につきましては、合併20周年記念事業として、友好都市提携を締結して30周年を迎えた中国保定市と昨年5月に伝統工芸フェスティバルを開催したベトナム・フエ市の関係者を本市へ招待し、市民との交流を行う予定としております。これにより、文化、教育、経済、観光など幅広い分野で友好関係が深められるとともに、地域における国際化並びに多文化共生社会の構築にもつなげてまいります。

 「経営感覚のある行財政運営の実践」につきましては、「西条市公共施設等総合管理計画」の着実な実施に向け取り組んでいるところでありますが、あわせて、昭和53年度に建築された市役所庁舎本館において、令和8年度からの長寿命化工事の実施に向け、長寿命化基本計画の策定に取り組んでまいります。

 「行政情報の運用」につきましては、「西条市DX推進戦略」に基づくDXの推進を引き続き行うことにより、市民目線に立ち行政の在り方を再設計するという理念のもと、デジタル技術を効果的に活用することで、業務効率化とともに市民サービスの向上につなげてまいります。また、本市が合併20周年を迎えることを契機として、合併後から令和6年度までの本市の主な行政の実績等を収録した「市政二十年のあゆみ(仮称)」の刊行に向けて、編さん業務にも取り組んでまいります。

 以上、新年度の市政運営につきまして、私の所信の一端を申し上げました。山積する課題に真摯に向き合い、市民の声に耳を傾けながら、残された任期において、市政の発展に全力投球で邁進してまいる所存であります。

 議員の皆様方をはじめ、市民の皆様方の温かいご理解と、一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。


おすすめイベント