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令和4年西条市議会3月定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し述べ、議員各位、並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
令和2年1月に国内で初めてとなる新型コロナウイルスの感染事例が報告されてから、早や2年余りの月日が過ぎ去りました。今年度は、医療従事者をはじめとする多くの関係者のご尽力によりまして、発症予防効果が高いワクチン接種を希望される全ての市民の皆様に対し、2回の接種を終えることができました。しかしながら、本年1月には感染力の高い変異株であるオミクロン株による第6波の到来など、未だ新型コロナウイルス感染症の収束が見えない状況が続いているところです。
本市では、鋭意、3回目のワクチン接種を前倒しで進めておりますが、新型コロナウイルスは驚くほどのスピードで変異を繰り返しておりまして、今後も当面は気の抜けない状況が続くと予測しています。長期に亘り、市民生活が大幅に制限を受ける大変厳しい状況ではありますが、引き続き緊張感をもって全力で対応に努めてまいります。
他方、この度の新型コロナウイルス感染症の流行は、デジタル変革のきっかけとなるなど、良くも悪くも、市民生活に大きな変化をもたらしました。特に、ビジネス面においては、オンライン会議やテレワークが当たり前となり、既に一部の大手企業が全国どこにでも居住を可能とするなど、都市部と地方都市との間に存在し続けてきた、距離による格差が縮小することとなりました。このような分散化やデジタル化の進展は、本市のような地方都市にとって大きなチャンスが生まれるものと、前向きに受け止めています。
私たち人類は、これまでも幾度となく大きな試練に直面してきましたが、その都度、互いに助け合い、励まし合いながら困難を乗り越えてきました。今、まさに我々は、コロナ後の新しい時代に向けた進化の真只中にありますが、私自身、苦しまれている市民の皆様の痛みに寄り添いながら、次代に向けた転換期への歩みを進めてまいります。
また、昨年末には市内養鶏場において高病原性鳥インフルエンザが発生しました。被害に遭われた養鶏農家の皆様にお見舞い申し上げますとともに、昼夜を問わず対応にあたってくださった多くの関係者の皆様に対しまして、心より感謝を申し上げます。感染被害からの再建や風評被害への対応など、乗り越えていかなければならない課題が山積する状況ではありますが、今後とも国・県及び関係機関等との連携を密にしながら、再興に向けて汗を流し、養鶏農家の支援に対応してまいります。
さて、私は今年度に向けた所信表明において、「持続可能な西条市の実現に向けた事業の本格化」、「中長期的な展望を見越した抜本的な経営改革への着手」という大きく2つの方針を打ち出しました。
1点目の「持続可能な西条市の実現に向けた事業の本格化」につきましては、令和2年2月に策定した「第2期西条市総合計画後期基本計画」の達成目標である「みんなで実現しよう!持続可能な西条市」の具現化に向けていかに取り組むのか、本市の次代を担う若者世代が夢と希望を抱く地域社会をいかにして構築していくのかという点が重要であります。そのような思いから職員とともに検討を重ねてきた結果、内閣府が推進する「SDGs未来都市」の選定に向けてチャレンジすることとし、昨年5月、県内の自治体として2番目となる「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」の選定を受けることができました。市民、企業、行政などの関係者が一体となり、持続可能なまちづくりを強力に推進していくための旗印を掲げることができたものと高く評価しています。
2点目の「中長期的な展望を見越した抜本的な経営改革への着手」につきましては、昨年と同じく、「縦割り」「単機能」に象徴される拡充型の自治体行政のあり方から、「複合」「多機能」に象徴される縮充型の自治体行政のあり方へと転換することを念頭に置き、市役所における組織体制の根底からの改革を図っていくという強い思いを有しています。今年度は、今日まで先送りされてきた総合支所の見直しや公共施設の再編整理を積極的に推進してきましたが、依然として、老朽化の影響によって維持更新コストが漸増している公共施設が多く存在するなど、将来に向けての課題が山積している状況に変わりありません。次代を担う子どもや孫世代に対して過度な負担を残すことが無いよう、更なる経営改革に着手してまいります。
また、政策課題が複雑多様化する今日においては、まちづくりに民間のノウハウを取り入れるとともに、多様な関係主体と目的を共有しながら、公民連携・市民協働によるまちづくりを推進することが重要であります。限られた人的資源を最大限に活かすことができるよう、新たな時代の到来を見据えた職員の意識改革を図るとともに、市民との情報共有を積極的に推進し、共感の醸成に努めてまいります。
さて、コロナ禍にあってイベント等、規制を余儀なくされる厳しい状況下ではありますが、本市が全国的に注目を集める移住・定住推進の取組については更に深化し、本年も年明け早々に嬉しい話題が飛び込んできました。株式会社宝島社が公表する「2022年版 住みたい田舎ベストランキング」において、本市が「若者世代・単身者が住みたいまち」部門で全国1位を獲得し、同部門においては3年連続の全国1位となりました。これまでとは異なり、本年は、隣接する今治市及び新居浜市のランキングも上昇しております。これも本市の取組が刺激となり、その相乗効果としてこの東予地域で本取組に盛り上りが生まれたことによるものであると受け止めています。互いに競い合う自治体でありながらも、しっかりと連携して愛媛県東予地域全体の魅力を発信することで、当該地域で増加傾向にある移住・定住の流れを継続的なものにしていくことができると受け止め、部分最適化ではなく全体最適化による成果創出の道を模索してまいります。
また、今年度は、昨年2月に実施した「西条市の教育に関するアンケート調査」において、子どもたちの教育環境という側面から見た場合、小学校を地域づくりの拠点として残していきたいとする、私を含め歴代の市長の思いと異なる結果が出たことを踏まえ、将来的な学校教育環境のあり方について改めて考えるきっかけとなる一年となりました。去る1月25日には、総合教育会議において、教育委員とともに教育行政の専門家のご講演を拝聴しましたが、私自身、未来の学校教育環境のあり方について議論しないまま時間が失われていくことは、子どもたちの幸せな未来への可能性を失うことに繋がるのではないかと改めて危機感を持った次第であります。新年度以降、有識者の意見を頂戴しながら、適正な学校規模を含めた学校教育環境のあり方に関する検討に着手してまいりたいと思います。
さて、私は、今年度を難局を乗り越えるための一体感を醸成する機会になる年として位置付け、「共創」をキャッチフレーズに掲げ、コロナ後における地域社会が真の意味で「持続可能な西条市」として発展することができるよう、種々の施策に取り組んでまいりました。
「市民主役の西条」の実現に向けましては、前任期からの公約に掲げる、市内全域における地域自治組織の設立に向けた取組を推進してきました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、各地域の皆さんも思うような協議を進めることができない状況ではありますが、コロナ後をしっかりと見据えながら、持続可能な暮らしの実現に向け、地域自治の具現化及び協働のまちづくりの推進に努めてまいります。
また、「SDGs未来都市」の推進につきましては、今任期における私の政策の柱となるべきものであります。「環境」「社会」「経済」の3つの側面に係る施策の統合的推進を図るとともに、去る1月に発足した「西条市SDGs推進協議会」を中心とする公民連携による事業推進体制を強固なものとしながら、中長期的な視点から持続可能な西条市の実現に向けた取組を推進してまいります。
さらには、本年7月の開館に向けて「ひと・夢・未来創造拠点複合施設(SAIJO BASE)」の整備を進めています。今後は、「市内在住者」のみならず、「移住者」や「関係人口」を含めた「活動人口」を核としたまちづくりの推進拠点とするとともに、企業、市民活動団体など多様なまちづくり関係者が分け隔てなく一堂に会し、新たな雇用や付加価値の創出を通じて、全世代に夢を与えることができる「チャレンジを応援するまち」の拠点施設へと深化させてまいります。
「住みたい西条」の実現に向けましては、これまで本市が取り組んできた教育・福祉・産業等の各種施策、近年重点的に取り組んでいる移住推進施策による成果が、目に見える形で現れてきました。昨年11月に公表された令和2年国勢調査の確報値によると、本市は平成29年度に国立社会保障・人口問題研究所が公表した令和2年における人口の将来推計値よりも735人多くなる結果となりました。年齢区分別でも、30歳から49歳の区分とその子どもにあたる区分が社人研の推計値を大きく上回ることとなりました。これらは、本市が積極的に取り組んできた子育て世代をメインターゲットとした移住・定住推進施策の成果が表れたものと大いに評価するところでありますが、人口減少に歯止めがかかっていないことに違いはありません。今後とも気を緩めることなく、より多くの若者世代や子育て世代から「住んでみたい、住み続けたい」と感じていただくことができるよう積極果敢にチャレンジしてまいります。
また、わくわく健康ポイント推進事業やがん対策推進条例の制定など、市民の皆様の健康寿命を延伸する施策に注力するとともに、今年度から自治政策研究所においてアクアトピア水系の活用方法についての研究も進めており、市民の憩いの場として、にぎわい空間の創出に取り組んでまいります。
「夢が持てるまち西条」の実現に向けましては、新型コロナウイルス感染症対策のため、残念ながら東京2020オリンピック競技大会に向けたオーストリア代表の事前合宿誘致を断念せざるを得ない結果となりましたが、同国のホストタウンとして多くの市民がスポーツクライミングという種目に興味を持ち、日本選手と同様にオーストリア選手に対する熱い声援が、国境を越えて思いを一つにする最善の機会となりました。石鎚クライミングパークSAIJOで合宿を行った国内外の選手たちがメダルを獲得する輝かしい姿を見ることができ、多くの市民が勇気と希望を感じることができたのではないでしょうか。今後とも、スポーツクライミングという競技を核に交流促進事業を継続するとともに、本市の競技場からオリンピアン誕生の夢を追いかけたいと思います。
また、これまで本市が積極的に推進してきた「スマートシティ西条」の実現に向けた取組においても、引き続き各種施策を積極的に推進するとともに、学校教育現場においては、子どもたちに一人1台のタブレットを配置し、新時代に向けたICT教育をスタートすることができました。
「つながり広がる西条」の実現に向けましては、戦略的に続けてまいりましたシティプロモーションの効果によって、大都市圏をはじめ各種メディアに本市を取り上げていただく機会が増えたことにより、本市を象徴する移住・定住推進施策の成果へと繋げることができました。また、去る1月には、愛媛県市町広報コンクールにおいて特選を受賞するなど、積極的にシティプロモーションを推進しようとする職員の意識と能力が著しく向上するとともに、本市の情報発信力を大きく底上げできたことを実感する一年でもありました。このプロモーションの力を、観光振興やふるさと納税の獲得へも繋げてまいります。
さらには、将来的な人口減少・少子高齢化の加速化を見越し、市民生活を維持していくための新たな自治体間連携として、新居浜・西条地区広域行政圏協議会において、将来的な廃棄物処理のあり方に関する検討を本格的に進めてまいります。
「市民と進める行財政改革」の実現に向けましては、新市発足以降の課題であった総合支所の見直しに着手するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じ、市民サービスの維持と行政運営の効率化の双方を実現する取組を推進しています。本年3月1日からは、市民が市役所本庁舎や総合支所の窓口に来庁しなくても、全国のコンビニエンスストアにおいて個人番号カードを活用して住民票などの証明書を取得することができるサービスを開始しました。今後とも、行政運営について市民目線に立った不断の改革に努め、持続可能なまち西条の実現を図ってまいります。
これらの諸施策に加え、自然災害や感染症などの危機事象に対し、対応力の高い防災都市の構築を目指してまいります。今後40年以内に90%程度の確率で発生が予想される南海トラフ地震、激甚化・頻発化する豪雨などの自然災害、そして新型コロナウイルスや高病原性鳥インフルエンザなど、あらゆる危機事象に対応可能な防災都市の構築に向けて、今一度何が求められるのかを改めて考察してみたいと思います。
昨今、人口減少・少子高齢化が加速度的に進むとともに、デジタル社会の到来に伴う情報量の増加などを背景に市民ニーズの多様化が進み、地方自治体をとりまく経営環境が変化するスピードが速くなっています。また、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応によって人々の暮らしや生活スタイルが大きく変化していることもあり、民間企業も含めて、先を読みにくくなっているのが実情ではないでしょうか。
本市はこれまで、移住・定住をはじめ全国に誇るべき取組を積極的に推進してきましたが、このような変化が激しく、かつ先の読みにくい経営環境下においては、先が読めないからと立ち止まって熟考するのではなく、方向性を見失わないよう常日頃から来るべき未来を予測し、行動しながら考え続けることが重要であります。
令和2年6月、内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会は、市町村がその行政需要や経営資源に関する長期的変化の見通しの客観的なデータを基に「未来予測」を行い、限られた資源を活かしてどのような未来を実現したいのかビジョンを共有することが重要であるとの答申を行いました。現在、総務省においても地域の未来予測のあり方に関する検討が行われておりますが、本市においては、この答申が行われる以前から未来予測を含めた「第2期西条市総合計画後期基本計画」を策定し、そしてこの度、SDGs未来都市の選定を受けた、いわば他自治体に先駆けて持続化に向けた取組を推進する先進自治体であります。今後の本市の未来を築いていくには、市民一人ひとりの一歩、行動が重要であります。
私は、令和4年度のキャッチフレーズを「NO PAIN、NO GAIN~勇往邁進~」と掲げました。苦心なくして、得るものはありません。市民の皆様とともに、「持続可能な西条市」という目標に向かって、まっしぐらに突き進めてまいります。
それでは、引き続き、令和4年度の予算編成の概要につきまして、ご説明申し上げます。
まず、新年度における財政環境でありますが、市税収入につきましては、個人・法人を合わせた市民税においては、新型コロナウイルス感染症の影響による減収傾向から、一定の回復基調も見られ、令和3年度当初予算をやや上回る見込みであるものの、地域経済は長期化する新型コロナウイルス感染症の影響下から脱しておらず、以前の水準に回復するまでには相応の時間を要するものと想定しております。
一方、歳出につきましては、社会保障経費の充実により、扶助費が依然として増加傾向で推移するほか、公共施設の経年劣化に伴う維持補修費の増加に加えて、市債の償還に要する公債費の大幅な増加が続いております。更には、道前クリーンセンターの基幹的設備改良や小中学校施設の長寿命化改修など、市民生活を維持するために避けることのできない大型施設の更新等に要する投資的経費も大幅に増加していることから、本市の財政状況は非常に厳しいものがあり、今後もこの状況は続くものと受け止めております。
このような中、新年度の予算編成に当たっては、事業の「選択」と「集中」に一層取り組むとともに、歳入水準に見合った歳出構造への転換に向けた「歳出改革」を更に推し進め、持続可能な財政基盤を確立する基本方針を堅持する一方、未だ新型コロナウイルス感染症の収束が見込めない中、「コロナ克服・新時代開拓」を掲げる国の方針に対応し、感染症対策や地域経済の回復に向けた支援の継続に加え、コロナ後の新しい時代を見据えながら、地域の持続化に向けた各種施策について、積極的な予算措置を行いました。
その結果、新年度の当初予算案は、一般会計で492億9,000万円の合併以降最大の予算規模となり、これを令和3年度当初予算と比較しますと、金額で60億7,000万円、率にして14.0%上回る規模となりました。
また、特別会計全体の予算規模は264億5,382万1千円で、企業会計は72億3,155万円となり、一般会計と合わせた全会計では829億7,537万1千円となり、これを令和3年度当初予算と比較しますと、金額で56億1,440万8千円、率にして7.3%上回る規模となっております。
それでは、新年度の主要事業につきまして、まちづくりの基本目標である施策の大綱に沿ってご説明申し上げます。
第1点目は、健やかに生き生きと暮らせる福祉のまちづくりであります。
「健康づくりの推進」につきましては、昨年4月に施行した「がん対策推進条例」を推進することで、市民の皆様にがんに対する正しい知識を身に付けていただき、たとえがんにり患したとしても自分らしく暮らすことができる社会の実現を目指してまいります。また、近年、新型コロナウイルス感染症の影響で実施することができなかった「笑い」で健康づくりについて、新年度は「笑いヨガ」に加え、その他笑いのイベントを開催するなど、市民の皆様の心と体の健康増進を図ってまいります。さらには、開始から5年目となりました「わくわく健康ポイント推進事業」におきましては、SDGs活動と自らの健康づくりを繋ぎ合わせることで、楽しみながら健康づくりができる環境を整備してまいります。なお、令和5年度に愛媛県において開催が予定されている「ねんりんピック(愛顔(えがお)のえひめ2023)」につきましては、新年度にリハーサル大会を開催することとし、高齢者を中心とした健康の保持及び増進を図るとともに、ふれあいと活力のある長寿社会の形成に努めてまいります。
「福祉の充実」につきましては、新年度から地域包括支援センターの民間委託を市内全域に拡大して開始することとし、民間事業者との連携のもと、市民の皆様が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられるよう、さらなる福祉サービスの充実に努めてまいります。また、成年後見制度を必要とする人が適切に制度を利用し、メリットを実感することができるよう、今年度中に「成年後見制度利用促進基本計画」の策定を目指し、本市における権利擁護支援の地域連携ネットワーク及び中核機関の体制整備を行ってまいります。さらには、高齢者の保険事業と介護予防事業の一体的な実施方針を策定することとし、高齢者福祉の充実を図るとともに、市民の皆様の健康寿命延伸に努めてまいります。
「子育て環境の充実」につきましては、妊娠・出産・育児の切れ目のない支援を提供することを目的に、「子育て世代包括支援センター(ハピ♡すくルーム)」を拠点として、引き続き母子ともに健康で、安心して子育てができる環境づくりを推進してまいります。
「医療体制の充実」につきましては、依然猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症への対策として、ワクチン接種が円滑に実施できるよう、国・県及び医師会など関係機関との連携を図ってまいります。また、高齢者福祉施設等に従事されている職員の皆様などを対象に、PCR検査又は抗原検査にかかる費用の一部を助成することで感染拡大を抑制し、利用者へ安全なサービス提供の確保を行ってまいります。
第2点目は、豊かな自然と共生するまちづくりであります。
「自然環境の保全」及び「水資源の保全」につきましては、気候変動に繋がる複雑多様化する環境課題を解消するため、公民連携体制のもと、課題解決に向けた議論及び対応策の検討を進めてまいります。また、西条市地下水保全管理計画に基づき、「西條市地下水の保全に関する条例」を令和5年4月の全面改正に向けて、引き続き準備を進めてまいります。
「生活環境の整備」につきましては、本年2月7日に廃棄物減量等推進審議会から受けた答申をもとに、家庭系ごみの有料化、粗大ごみの戸別収集及び資源ごみ等の拠点回収に関し、市民の皆様に丁寧な説明を行い、早期実現を目指してまいります。また、「道前クリーンセンター」における基幹的設備改良工事を円滑に進めるとともに、延命化後の施設更新を見据え、新居浜・西条地区広域行政圏協議会において、ごみ処理施設広域化の可能性調査を進めてまいります。さらには、「やすらぎ苑」の延命化に伴う実施設計等を行い、火葬施設の安定的な運営を図ってまいります。
「環境資源を活かした地域づくり」につきましては、国が2050年カーボンニュートラルを達成すべく策定した「地域脱炭素ロードマップ」において、2030年度までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域をつくるとの方向性が示されたことから、SDGsを推進する本市としては、当該先行地域に選定されることを一つの目標に、環境省の補助事業等を活用しながら脱炭素に向けた取組を進めてまいります。また、市民を対象にカードゲームを通じたSDGs活動の普及促進を図るとともに、LOVE SAIJOポイントを活用した生ごみ処理機の購入、リサイクルの促進及びおいしい食べきり運動推進店の拡大促進を図り、ポイントの地域内循環を促すことでSDGs活動を通じた持続可能なまちづくりを推進してまいります。
「上下水道の整備」につきましては、ひうち地区における給水量の増加や塩水化の懸念が生じている状況であることから、水道水の安定供給を図ることを目的に、引き続き新たな水源地の検討及び配水池の整備を進めてまいります。また、近年浸水被害が発生しているJR壬生川駅周辺等の浸水防除を目的に、引き続き三津屋雨水ポンプ場の新設工事を進めるとともに、公共下水道事業会計の経営安定化を図るため、新年度から下水道計画区域の見直しを行ってまいります。
第3点目は、快適な都市基盤のまちづくりであります。
「交通体系の整備」につきましては、「西条市地域公共交通網形成計画」に基づき、地域特性に見合った交通システムの構築や交通空白地の解消に努め、引き続き公共交通体系の活性化及び再編を図ってまいります。
「港湾・河川の整備」につきましては、産業競争力の強化や災害時における四国内の緊急物資輸送拠点として期待される東予港複合一貫輸送ターミナルの整備を進めるとともに、再度被災する可能性が高い河川を対象に「河川改修事業」を実施することで、引き続き防災インフラの整備を進めてまいります。
「住宅・宅地の整備」につきましては、人口減少・少子高齢化の進展によるさらなる課題の複雑化を見据え、本年1月20日に西条市空家等対策審議会から受けた答申をもとに「西条市空家等対策計画」を策定し、公民連携体制のもと、早期に対応を進めてまいります。
第4点目は、災害に強く安全で安心して暮らせるまちづくりであります。
「防災・減災対策の強化」につきましては、整備から7年が経過した「消防緊急通信指令システム」について、耐用年数を迎えた機器が多く発生していることから、指令管制業務に影響を及ぼす主要装置の部分更新を行うことで、24時間365日安定した指令体制の維持を図ってまいります。また、災害時における初期対応に必要な食料・水などの災害用備蓄品を、計画的に整備するとともに、地域における災害対応力の向上を図るため、地区防災計画の策定を支援してまいります。
「交通安全対策の推進」につきましては、通学路における子どもたちの安全・安心を確保するための事業を積極的に推進しており、新年度は、一般国道11号小松地区の歩道整備事業において、調査設計を継続し、用地買収等を進める予定としています。今後とも国との連携体制のもと、JR伊予小松駅近隣の通学生徒をはじめとする歩行者の安全確保及び交通事故の低減を図ってまいります。
第5点目は、豊かな心を育む教育文化のまちづくりであります。
「学校教育の充実」につきましては、現在取り組んでいる小中学校校舎の長寿命化整備について、新年度には「神拝小学校北校舎」「丹原小学校校舎」の整備完了を目指すとともに、新たに「小松小学校校舎」の整備に着手します。また、西条市学校給食施設整備基本計画に基づき、今年度から着手している「(仮称)東部給食センター」整備・運営に向けた事業方式について、業務の一部民間委託を含めた検討を進めており、持続可能で安全安心な給食体制の確立を目指してまいります。
「社会教育の充実」につきましては、コロナ禍で図書館に来館することなく書籍等の貸し出しができるよう、今年度から導入している「電子図書館」について、引き続き蔵書数の増加に努め、利用者の利便性向上を図ってまいります。
「人権・同和教育の推進」につきましては、人権が尊重される明るく住みよいまちづくりの実現を目指すため、昨年3月に改定した「西条市人権文化のまちづくり基本計画」に基づき、あらゆる場を通じた人権教育及び啓発を推進し、市民の皆様とともに、人権文化の根付いた明るく住みよい西条市の実現を目指してまいります。
第6点目は、活力あふれる産業振興のまちづくりであります。
「農業の振興」につきましては、農業従事者の高齢化と後継者不足に伴う耕作放棄地の解消等を目的に、引き続き「ほ場整備事業」による基盤整備を実施するとともに、担い手への農地集積や耕作放棄地再生支援など、変わりゆく地域農業の現状に鑑み、農業者のニーズを反映させたハード及びソフトの両面からの総合的な農業支援を行い、地域農業生産力の向上と農業経営基盤の安定化を図ってまいります。
「林業の振興」につきましては、森林環境譲与税を財源とした森林整備基金を活用し、放置林問題や担い手不足など、複雑多様化する森林に関する課題を解消するため、森林の多面的機能を十分に発揮することができるよう、資質の高い林業経営体を育成するとともに、適切な森林経営管理を行ってまいります。また、次世代へと豊かな森林資源を継承していくため、森林の将来を見据えた「森林ビジョン」の策定に向けて準備を進めてまいります。
「企業活動の活性化」及び「新規産業の創出」につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市内事業者の経営課題を解決し、ポストコロナ社会に向けた取組を支援するとともに、企業立地奨励措置を改正し、脱炭素化の潮流に即し、積極的な設備投資を行う企業を支援してまいります。加えて、本市と台湾との産業連携及びビジネスマッチング等については、かねてより連携を行っている台日産業連携推進オフィス(TJPO)のみならず、より多くの成果を得るため、他の関係団体とも連携をしながら積極的に取り組んでまいります。
「観光産業の創出」につきましては、新型コロナウイルス感染症によって深刻な影響が生じている観光業はじめ運送業者などの需要回復、さらには本市への来訪者増大を目的として、本市の宿泊施設を利用していただいた方を対象に宿泊費及び飲食費等の助成を行うことで、県が実施する補助事業との相乗効果も図りながら、市内の宿泊事業者及び飲食事業者等に対して支援を行ってまいります。
「産業人材・雇用環境」及び「西条の価値や魅力の向上」につきましては、本年7月に開館を予定している「ひと・夢・未来創造拠点複合施設(SAIJO BASE)」において、移住者や関係人口と市民・企業が交流して有機的に繋がりあうことで新たなイノベーションを創出し、地域における様々な課題解決に向けた取組が加速するよう、コーディネーター等による支援を行ってまいります。
以上の施策を実現するには、多様化する地域課題の解決に向けて、市民の皆様とともに取り組んでいく協働のまちづくりを推進することが重要であります。
これまで進めてきた「地域自治組織」設立に向けた推進につきましては、地域課題の解決に向けた活動を引き続き支援するとともに、地域自治組織設立に係る支援体制の充実及び強化を図ってまいります。また、「西条市版SIB」の仕組みを活用し、地域活性化に取り組む事業及び団体のチャレンジを引き続き応援してまいります。
「時代の変化に対応した地域づくり」につきましては、「持続可能な西条市」の実現に向けて各種課題の解決を図ることを目的に、「西条市SDGs推進協議会」を中心とする公民連携体制の確立を目指すとともに、西条市SDGs未来都市の実現に向けた取組を推進してまいります。また、誰もがデジタル技術の恩恵が受けられるよう、高齢者向けスマートフォン体験会を開催するなど、デジタルを活用した市民の情報力向上に努めてまいります。
「経営感覚のある行財政運営の実践」につきましては、進展する人口減少や少子高齢化による将来的な財政負担等への影響を踏まえ、引き続き公共施設の適正配置と有効活用方法について検討を進めてまいります。また、市場金利の低下が続き、利子収入が減少する中、新たな財源の確保を目的に、安全性、確実性を優先しながらも収益をあげる有利な方法として、国債を中心とした債券による基金の運用を行ってまいります。さらには、市民ニーズや地域課題を的確に捉え、迅速に、かつ、横断的に解決し、市民が満足する行政サービスを提供し続けていくためにふさわしい組織を構築してまいります。特に、総合支所の見直しにつきましては、本年8月から各総合支所は西部支所並びに丹原及び小松サービスセンターとして、新たな体制でスタートします。市民サービスの大幅な低下を招かないよう市民の声を聴きながら、本庁、支所、サービスセンターが連携して、地域の市民サービスを行ってまいります。
「行政情報の運用」につきましては、デジタル改革の鍵を握るマイナンバー制度について、本市においても多くの市民がマイナンバーカードを取得していただくことができるよう、LOVE SAIJOポイントを通じた取得促進を展開してまいります。また、令和6年11月、新市発足から20年の節目を迎えることを契機に、20年間の主な行政実績等を収録した市史を令和7年度に発行することを目指し、編さんを進めてまいります。
以上、新年度の市政運営につきまして、私の所信の一端を申し上げました。当面は引き続き新型コロナウイルス感染症対策を最優先とし、市民の健康と暮らしを守り、合わせてポストコロナを見据えた社会経済活動の本格的な再開に向けて、全力で取り組んでまいります。変化が著しい混迷の時代を皆様とともに乗り越えていくことができるよう、本市の発展と住民福祉の増進を図るべく一層の覚悟を抱き、確実に歩みを進めてまいる所存であります。
議員の皆様方をはじめ、市民の皆様方の温かいご理解と、一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。