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令和5年西条市議会3月定例会の開会にあたり、私の所信の一端を申し述べ、議員各位、並びに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと存じます。
我々の生活を一変させた新型コロナウイルス感染症の陽性者が国内で確認されてから早や3年の月日が経過しました。昨年末には第8波の到来により感染が拡大するなど、依然、気を抜くことのできない状況が続いておりますが、市民の皆様はもとより医療従事者をはじめとする多くの関係者のご尽力により、感染者数の推移も落ち着きをみせてまいりました。国においては、感染症法上の分類を「2類相当」から「5類」へ引き下げる方針を示したことで、今後行動制限等は緩和されてくるものと見込まれますが、県では、地域の医療負担は継続していることから、警戒レベルは「特別警戒期間」を維持しており、市民の皆様におかれましては、引き続き気を緩めることなく、感染防止に努めていただきますようお願い申し上げます。
さて、今年度は、ロシアのウクライナ侵攻の影響に伴い、日本はもとより世界経済が大きな影響を受けた一年となりました。エネルギー資源や穀物などの国際商品市況が高騰し、世界的なインフレに拍車がかかったのと相まって、国内においては急速に進んだ円安の影響による輸入品の値上がりなど、物価上昇の影響は計り知れないものとなっています。世界経済は、当面先行きが不透明ではありますが、ポストコロナを見据えた社会経済活動の回復に向けて加速的に取り組もうとする国の方針と足並みを揃えつつ、経済対策の動向を注視しながら、しかるべき対策を講じてまいりたいと考えています。
他方、地方自治体を取り巻く現下の情勢も大変厳しく、特に、人口減少・少子高齢化の問題は歯止めがかからない状況が続いています。国において「次元の異なる少子化対策」が掲げられている中、昨年10月に愛媛県が発表した「えひめ人口減少対策重点戦略」では、2020年の人口を基準として、愛媛県全体で2060年までに約4割の人口が減少すると発表されており、東予地域においても約4割の人口が減少する推計値となっています。我々が日々の生活を送る中で実感することなく深刻な状況が進展する「静かなる危機」が迫ってきている状況ではありますが、市民一人ひとりがいかに自分事として受け止め、共に歩んでいくことができるかという点が、持続可能な自治体経営に繋がる第一歩だと考えています。
昨年2月には、衝撃的なニュースが本市を騒然とさせました。多くの市民の熱い想いを受け、平成10年6月に操業を開始した「アサヒビール四国工場」の操業終了が発表され、本年1月をもって工場が閉鎖されました。四国唯一の大手ビール工場の灯が消えたことは断腸の思いではありますが、操業開始以降、本市の発展に多大なるご貢献を頂きましたことに、心から感謝を申し上げますとともに、本年1月30日から稼働を開始した「アサヒビール四国配送センター」はもとより、先日締結した「持続可能な地域づくりを共創するための包括連携協定書」をもって、これまで築き上げてきた繋がりを途切れさせることなく、地方の発展に大きく貢献していただけることを今後とも期待しております。
このように時代は常に変化の繰り返しではありますが、将来を見据えて力強く前へと進んでいかなければなりません。行政を取り巻く課題は数多く山積している状況でありますが、従来の行政のあり方を絶えず見直しながら立ち止まることなく歩みを進めてまいります。
昨年11月に私の二期目の折り返しを迎えましたが、これまでの2年間は、新型コロナウイルス感染症の対応に追われる日々でありました。振り返りますと、長期にわたる緊急事態措置やまん延防止等重点措置により、外出自粛や店舗等への休業要請、時短要請が繰り返し行われるなど、市民生活や事業活動に多大な影響を及ぼすこととなりました。しかし、このような状況下において、感染拡大防止や市内経済の回復に向けた取組など、各種施策を前向きに進められたことは、市民の皆様はもとより、議員各位のご理解とご協力、そして職員の努力の賜物であると深く感謝を申し上げる次第です。
一方、コロナ禍において「新しい生活様式」への変化が著しく進み、特に進化を遂げたのはデジタル化の流れではないでしょうか。国においては、昨年12月に「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が閣議決定され、全国的にデジタル化に向けた取組が加速的に進展しています。テレワークの推進により、すでに大手企業においては居住地の自由化が進められており、「転職なき移住」など、地方へ人の流れをつくる政策がより強化されてきています。DX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれるデジタル技術を活用した市民サービスの向上や行政事務の効率化・迅速化には大きな可能性が秘められており、本市においても、次代のまちづくりに向けた取組を進めてまいります。
世界的な経済情勢の不安定化など暗いニュースが多い中ではありますが、明るい話題もありました。昨年、カタールで開催された国際サッカー連盟主催「FIFAワールドカップ」において、本市出身である長友佑都選手が日本代表として4回目のワールドカップ出場を果たしました。日の丸を背負い、常にチームを鼓舞し世界の強豪チームを相手に一歩も引くことなく立ち向かっていく姿は、我々市民に多くの勇気と感動を与えてくれました。このような姿を見て、「自分も夢を追いかけたい」と思える子どもや若者が増えてくれることを望み、我々も引き続きチャレンジする皆さんを応援してまいりたいと考えています。
さて、本市の宝である次代を担う子どもたちにとって、大変重要な課題となっておりますのが、学校教育環境のあり方についてであります。令和2年度に実施した「西条市の教育に関するアンケート調査」において、子どもたちの教育環境という側面から見た場合、小学校を地域づくりの拠点として残していきたいとする、私を含め歴代の市長の思いと異なる結果が出たことを踏まえ、将来的な学校教育環境のあり方について本格的な議論を進めようとしています。このような中、今年度実施した「西条市の学校規模適正化に関するアンケート調査」の結果においては、今の学校配置が望ましいという思いを持ちつつも、将来的な人口減少・少子化を見据えた場合、児童生徒が減少する中で再編はやむを得ないといった声が多くみられました。今後は、将来の児童生徒数の推移や、教職員の働き方改革を含めた学校運営、さらには施設の老朽化の状況など様々な点を考慮しながら、本市の次代を担う子どもたちにとって最適な学校教育環境の実現に向けて、具体的な検討に着手してまいります。
さて、私は、今年度を苦心を重ねながらも、市民の皆様とともにまっしぐらに突き進むことができるよう、「NOPAIN、NOGAIN~勇往邁進~」をキャッチフレーズとして掲げ、「持続可能な西条市」の実現に向け、2つの方針を柱に種々の施策に取り組んでまいりました。
一つ目の「持続可能な西条市の実現に向けた事業の本格化」につきましては、第2期西条市総合計画後期基本計画で掲げております「みんなで実現しよう!持続可能な西条市」の具現化に向けた取組を進めてまいりました。今年度はSDGsとDXの融合を図るべく、LOVE SAIJOポイントを核とした事業を推進した結果、本年1月時点でアプリの登録者が3万5千人を突破するなど、少しずつSDGsの取組が市民に浸透してきたものと実感しています。新しい技術革新が急速に進展している時代においてデジタル技術を積極的に活用するとともに、中長期的な視点をもって、将来的な課題解決に向けて取組を推進してまいります。
また、市民の交流と新たなチャレンジを応援する複合施設として、「ひと・夢・未来創造拠点複合施設(SAIJO BASE)」が昨年7月にオープンいたしました。オープニングイベントを皮切りに、施設の認知度向上を目的として毎月開催しているイベントには数多くの方にご来場いただき、盛り上がりを実感しております。引き続き、市民や企業、各種団体など様々な方が集い有機的に繋がり合うとともに、やりがいを持って新しいことに挑戦できる「チャレンジを応援するまち」の拠点施設として、これからも深化し続けてまいります。
さらには、前任期からの公約に掲げている、地域自治組織の設立に向けた取組につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、各地域の皆さんと思うように協議が進められなかった部分がございます。人と人との繋がりの希薄化により地域コミュニティの存続が危ぶまれる中、将来の地域のあり方をしっかりと見据えつつ今一度気を引き締め直し、住民自らが未来へ向けたビジョンの共有を図りながら、課題解決に取り組むことができる体制の構築に努めてまいります。
二つ目の「中長期的な展望を見越した抜本的な経営改革への着手」につきましては、市内に数多く存在する公共施設の半数以上が老朽化しており、それらの維持更新コストが漸増する中、先送りすることのできない重要な課題であると認識しています。将来世代に過度な負担が残らないよう、適正な施設再編に向けた議論を進めるとともに、限りある財源を有効的に活用し、計画的な行財政運営に努めてまいります。
とりわけ、合併以降先送りされていた課題の一つであった総合支所の再編につきましては、昨年8月から各総合支所の機能を見直し、西部支所及び丹原・小松両サービスセンターとして、新たな体制をスタートさせました。窓口業務の縮小化を図りながら、窓口改革の一環としてワンストップで手続きが完結できる総合窓口化に向けた検討を進めるとともに、マイナンバーカードを利用した申請業務のデジタル化を拡充するなど「書かない・待たない・行かない窓口」の実現を目指し、DXによる市民サービスの更なる向上に取り組んでまいります。
以上のような施策に加え、移住・定住施策や関係人口の創出など、本市ではこれまで全国に誇るべき取組を積極的に展開してまいりました。本年1月に公表された、株式会社宝島社の「2023年版 住みたい田舎ベストランキング」における「若者世代が住みたい田舎部門」において、残念ながら4連覇を達成することは叶いませんでしたが、これまで申し上げてきた東予圏域における全体最適化の実現が着実に近づいてきていると前向きに捉えています。これからも本市の魅力度向上に努めるとともに更なる成果の獲得に繋げ、より多くの方々から「住んでみたい」「住み続けたい」と実感されるまちづくりを進めてまいります。
さて、変化の激しい時代を生きる我々現代人は、自分たちの立ち位置をしっかりと見つめ直し、中長期の時間軸で物事を捉えることができなければ、未来への展望は開けてくることはありません。昨今では、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化に加え、物価高騰など厳しい経済情勢が続く中、我々市民は、今まで当たり前であった日常を失い、生活様式の大きな見直しを余儀なくされてきました。しかし、こうした状況下であるからこそ、次に向かって力強く歩みを進めていくための新たな発想の転換が生まれてくるものだと信じています。本市ではこれまで、西条市SDGsのキャッチフレーズである「いっしょにやろや ちょっとずつ」を合言葉に、本市独自の地域消費喚起を含め、新たな発想をもとに未来(あす)に向けてのモデル事業を積極的に推し進めています。先が見えないからと立ち止まるのではなく、熟慮断行しながら他にはない新しい価値を本市に生み出すことができるよう、「好機を掴み、挑戦し、変革する」ことを強く意識しながら歩みを進めてまいります。
過去から積み残されてきた課題を一足飛びに解決することはできませんが、本市が求める持続可能なまちづくりに向けて一歩ずつ確実に歩みを進めていくことができるよう、令和5年度は「Step by Step(ステップ・バイ・ステップ)」をキャッチフレーズとして掲げ、本市の将来あるべき姿を共有しながら、市民の皆様とともに「持続可能都市西条2050」の実現に向けて着実に漸進(ぜんしん)してまいる所存です。
それでは、引き続き、令和5年度の予算編成の概要につきまして、ご説明申し上げます。
まず、新年度における財政環境でありますが、市税収入につきましては、個人・法人を合わせた市民税については、新型コロナの影響からの経済の緩やかな持ち直し等により、令和4年度当初想定を上回る収入見込みであることに加え、固定資産税についても、新築家屋の増加等により増収が見込まれるなど、令和4年度当初予算と比較しますと、増加となっております。
しかしながら、歳出につきましては、繰出金や維持補修費、公債費等が増加する一方、ワクチン接種を含む新型コロナウイルス対策関連経費の減少に加え、投資的経費において、道前クリーンセンター整備事業費等の減少により大幅に減少しているものの、令和6年度以降は、(仮称)東部給食センターの整備など、市民生活を維持するために避けることのできない大型施設の整備・更新等が予定されていることや、市債の償還に要する公債費の増加、更には物価高騰等による財政需要の増加も見込まれることから、引き続き厳しい財政状況に変わりはないものと受け止めております。
このような中、新年度の予算編成に当たっては、歳入水準に見合った歳出構造への転換に向けた「歳出改革」を継続しつつ、物価高騰等への対応に加え、持続可能都市西条の実現に向けた各種施策については積極的な予算措置をおこなうなど、更なる事業の「選択」と「集中」に取り組み、予算編成を行いました。
その結果、新年度の当初予算案は、一般会計で457億7,000万円となり、これを令和4年度当初予算と比較しますと、金額で35億2,000万円、率にして7.1%下回る結果となりました。
また、特別会計全体の予算規模は263億4,496万2千円で、企業会計は72億3,817万6千円となり、一般会計と合わせた全会計では793億5,313万8千円となり、これを令和4年度当初予算と比較しますと、金額で36億2,223万3千円、率にして4.4%下回る規模となっております。
それでは、新年度の主要事業につきまして、まちづくりの基本目標である施策の大綱に沿ってご説明申し上げます。
第1点目は、健やかに生き生きと暮らせる福祉のまちづくりであります。
「健康づくりの推進」につきましては、がん患者及び家族が安心して日常生活を送ることができるよう、「西条市がん対策推進条例」に基づき、がん患者への各種費用助成や生活習慣改善による予防促進など、引き続き市民のがん対策推進に取り組んでまいります。また、心や体に大きな影響を与える「笑い」の力に着目し、各種行事に笑いの要素を取り入れることで、市民の皆様の心と体の健康づくりに努めてまいります。さらには、本年10月に開催予定の「ねんりんピック愛顔(えがお)のえひめ2023」において、本市で実施予定のサッカー及び太極拳の運営に加え、健康づくり教室やおもてなしイベントを開催することで、高齢者を中心とした健康の保持及び増進を図るとともに、ふれあいと活力のある長寿社会の形成を目指してまいります。
「福祉の充実」につきましては、高齢者の心身の状態に応じたきめ細かな住民サービスを提供することを目的に、別々のサービスとして事業展開している保健事業と介護予防事業の連携を図り、一体的に実施することで、高齢者の継続性ある健康増進及び介護予防に取り組んでまいります。また、高齢者を見守る側の担い手が不足する中、民間企業やボランティアの協力を募り新たな見守り制度へと再編することで、持続可能な高齢者ネットワークの構築を図ってまいります。
「子育て環境の充実」につきましては、出産や子育てをする方が抱える不安や悩みを解消することを目的として、妊娠期から出産及び子育てまで一貫して相談に応じることで、ニーズに応じた支援に繋ぐ「伴走型相談支援」の充実を図るとともに、妊娠届出時及び出生届出後に「経済的支援」を行うことで、全ての妊婦及び子育て家庭が安心して出産や子育てができる環境を整備してまいります。
「医療体制の充実」につきましては、傷病者等の不安解消及び救急車の適正利用や医療機関受診の適正化に繋げることを目的に、医療従事者へ24時間365日電話相談できる窓口を新たに設置し、病気やけがの症状を把握したうえで緊急度を医学的観点から判断することで、安心して速やかに必要な医療を受けることができる体制を県及び20市町共同で構築してまいります。
第2点目は、豊かな自然と共生するまちづくりであります。
「水資源の保全」につきましては、本市にとって貴重な資源である地下水を守るため、市民共有の財産である「地域公水」に位置付けるとともに、「育水」の考え方などを盛り込んだ「西条市地下水の保全及び管理並びに適正な利用に関する条例」を基に、関係者が一体となって地下水を守ることで、うちぬき文化の継承を図ってまいります。
「生活環境の整備」につきましては、ごみの減量及び資源化の推進を目的に、新年度から「家庭系ごみ袋の有料化」「粗大ごみの戸別収集」「資源ごみ及び危険ごみの拠点回収」の3つの新たな取組を開始します。豊かな自然を育む循環型社会の形成を目指すため、市民及び事業者、行政が一体となった取組が推進できるよう、改めて皆様へご理解とご協力をお願い申し上げるとともに、引き続き市民の皆様が混乱することのないよう丁寧な情報発信に努めてまいります。また、今年度実施している「東予東部ごみ処理施設」の広域化・集約化に係る実現可能性調査結果を基に、引き続きごみ処理施設の将来的なあり方について検討を進めてまいります。
「環境資源を活かした地域づくり」につきましては、国が宣言した「2050年カーボンニュートラル」の実現に寄与するため、脱炭素先行地域に選定されることを一つの目標としながら、2050年までの脱炭素化を見据え、本市における再生可能エネルギーの導入ポテンシャルや将来のエネルギー消費量などの見通しを踏まえつつ、地域の関係者と連携し、本市の地域特性に適した脱炭素の取組を推進してまいります。
「上下水道の整備」につきましては、浸水被害が発生している船屋地区の浸水防除を目的に、船屋ポンプ場の増設工事を行い、安全性の確保及び生活環境の改善を図ってまいります。また、公共下水道事業会計の経営安定化を図るため、引き続き下水道計画区域の見直しを行ってまいります。
第3点目は、快適な都市基盤のまちづくりであります。
「交通体系の整備」につきましては、「西条市地域公共交通計画」の令和6年度改定を見据え、バスの利用者数減少に伴い路線が廃止となる地域へのデマンド型乗合タクシーをはじめとする代替交通の導入や、せとうち周桑バス路線の循環線への再編に向けた検討に着手するとともに、デジタルテクノロジーを用いた交通システムの構築に向けて検討を進めてまいります。
「市街地整備」につきましては、令和6年度から「西条市都市計画マスタープラン」の見直しを図ることを目的に、新年度に「都市計画基礎調査」を実施することで、社会経済情勢の変化や地域の土地利用動向に即した計画改定となるよう調査及び検討を進めてまいります。
「港湾・河川の整備」につきましては、浸水被害の解消及び軽減を目的に、過去に浸水被害があった地区から選定した重点地区を対象に、排水施設の改修や整備を行ってまいります。
第4点目は、災害に強く安全で安心して暮らせるまちづくりであります。
「防災・減災対策の強化」につきましては、東予圏域における消防指令システムの効率的な整備と運用を図るため、新居浜市及び四国中央市と連携し、広域連携の実現に向けた基礎調査を実施してまいります。また、老朽化が進む消防団施設について、将来的な人口減少社会の進展を見据えた施設の集約化と、効率的な災害対応体制を構築することを目的に、新年度に西条・神拝分団及び丹原分団の蔵置所整備の実施設計等に着手してまいります。さらには、地域の防災基盤強化を図るため、新年度に「西条市地域防災計画」の見直しを行い、災害対策の充実及び効果的な防災体制の構築を目指すとともに、地域住民の自助・共助の意識を高めてまいります。
第5点目は、豊かな心を育む教育文化のまちづくりであります。
「学校教育の充実」につきましては、現在取り組んでいる小中学校校舎の長寿命化整備について、新年度に「大町小学校校舎」の整備完了を目指してまいります。また、PFI事業で実施する(仮称)東部給食センターの整備・運営につきましては、新年度に事業契約を行う予定としており、併せて配送校の配膳室整備等につきましても進めてまいります。さらには、食材料費の価格高騰に対応するため、学校給食費の増額改定が行われることから、緩和措置として一部助成を行い保護者負担の軽減を図ってまいります。なお、子ども達への学習指導につきましては、一人一台タブレット端末の活用を核としたICT教育の更なる向上、推進に努めるとともに、海外から帰国及び移住等による日本語に不慣れな子どもたちへのサポートを目的とした「にほんご指導教室」について、その運営体制の充実によるよりきめ細かな支援を行ってまいります。
「人権・同和教育の推進」につきましては、社会環境の急速な変化に伴い、多様な価値観や考え方が生まれる中で、すべての市民が互いに尊重し、助け合い、ともに生きていくことができる社会を構築していくことができるよう、「西条市人権文化のまちづくり基本計画」に基づき、人権文化の根付いた明るく住みよい西条市の実現を目指してまいります。
第6点目は、活力あふれる産業振興のまちづくりであります。
「農業の振興」につきましては、農業生産性の向上のため、引き続き「ほ場整備事業」を実施するとともに、農業従事者の減少や高齢化に対処することを目的に、認定農業者や集落営農など、地域農業を支える多様な担い手を育成してまいります。
「林業の振興」につきましては、森林環境譲与税を財源とした森林整備基金を活用し、経営管理が行われていない森林の整備を推進するほか、林道の維持管理、担い手の育成支援、森林の多面的機能に関する普及啓発、木材利用の推進等を行ってまいります。また、次世代へと豊かな森林資源を継承していくため、森林の将来を見据えた「森林ビジョン」の策定に向け、引き続き調査を進めてまいります。
「企業活動の活性化」及び「新規産業の創出」につきましては、今年度実施した「中小企業等経営環境調査」において、新型コロナウイルス感染症の影響が継続していると回答した企業が6割を超える結果となるなど、市内事業者を取り巻く環境は、依然として厳しい状況となっております。今後、時代に即した産業政策を推進していくために、事業者の経営課題や本市が有する産業構造の強みを分析しながら、より効果的な産業振興施策を実施し、地域経済の発展に向けて一層の競争力を強化するとともに、他地域との差別化及び高付加価値化を図ってまいります。また、原油価格等の高騰により経営を圧迫している市内事業者に対し、エネルギーコストの削減と脱炭素化に繋がる省エネルギー化設備の導入や専門家の活用を支援することで、市内事業者の経営の安定化を図ってまいります。
「観光産業の創出」につきましては、友好都市提携を締結しているベトナム・フエ市で開催される「フエ伝統工芸フェスティバル2023」において、本市の伝統文化である「西条まつり」を通じた体験ブースの運営等を行うことで、ヒト・モノの交流を目指すとともに、両市の協力及び友好関係のさらなる深化を図ってまいります。
「産業人材・雇用環境」及び「西条の価値や魅力の向上」につきましては、昨年7月に開館した複合施設「ひと・夢・未来創造拠点複合施設(SAIJO BASE)」を拠点に、これまで全国のモデル的な成果を挙げている移住・定住施策や「まちの人事部」機能による就職支援に加え、戦略的なシティプロモーションを推進することで更なる関係人口を創出し、ヒトと暮らしと仕事が好循環する複合施設としてさらなる深化を目指してまいります。
以上の施策に加え、山積する地域課題を共有し、解決に向けて取組を進めていくためには、協働のまちづくりを推進することが重要であります。
これまで取り組んできた地域自治の推進につきましては、引き続き地域の状況に応じて地域自治組織設立に向けた支援を行ってまいります。また、地域資源等を域内循環する仕組みである西条市版ローカルファンドの推進にあたり、本市をはじめ、四国初のコミュニティ財団である「公益財団法人えひめ西条つながり基金」、「株式会社日本政策金融公庫」、「株式会社西条産業情報支援センター」、「NPO 法人西条まちづくり応援団」の5者連携によるソーシャルビジネス支援のほか、西条市版SIB事業やふるさと納税を活用したNPO等指定寄附制度を通して、地域社会の課題解決に取り組む事業者等を支援することで「活動人口」を創出し、協働のまちづくりを実現してまいります。
「時代の変化に対応した地域づくり」につきましては、今年度、試験的に運用を行っている電子申請プラットフォームにおける申込予約やアンケート機能の活用について、新年度より本格導入を進め、更なる市民サービスの向上を図ってまいります。また、今後ますますデジタル化社会が進展する中、電子機器等に不慣れな高齢者でも安心してデジタル活用ができるようデジタルデバイド対策に取り組み、「誰一人取り残さない」デジタル化社会の実現を目指してまいります。さらには、本年2月に一般社団法人として新たに活動をスタートした西条市SDGs推進協議会を中心に「LOVE SAIJOプラットフォーム」を活かしたまちづくりの仕組みを構築することで、「持続可能都市西条2050」の実現に向けて取組を進めてまいります。なお、「第2期西条市総合計画」の計画期間が令和6年度をもって終了することから、令和7年度以降の中長期的なまちづくりの指針となる「第3期西条市総合計画」の策定に向けて、新年度から着手してまいります。
「経営感覚のある行財政運営の実践」につきましては、将来的な人口減少や少子高齢化が進展する中、老朽化が進む公共施設の効率的な管理及び運営を行っていくため、引き続き公共施設の適正配置と有効活用方法について検討を進めてまいります。また、窓口改革の一環として、手続きに要する時間の短縮化を図ることでご遺族の心情に寄り添うことができるよう、「おくやみ窓口」の本格稼働とおくやみ手続きのワンストップ化の推進に取り組み、市民サービスの更なる向上を図ってまいります。
「行政情報の運用」につきましては、健康保険証としての利用や行政手続きのオンライン化など、デジタル社会のパスポートとして様々な利活用の検討が進むマイナンバーカードの更なる普及促進を図るとともに、引き続き正しい情報の発信とカード取得に係る支援を行ってまいります。
以上、新年度の市政運営につきまして、私の所信の一端を申し上げました。急速に変化が進む混迷の時代を皆様とともに切り拓いていくことができるよう、一層の熱意と不退転の決意をもって、全力で取り組んでまいる所存であります。
議員の皆様方をはじめ、市民の皆様方の温かいご理解と、一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。