ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 市長の部屋 > 建設通信新聞記事(令和3年9月8日)

本文

建設通信新聞記事(令和3年9月8日)

ページID:0085106 更新日:2022年2月18日更新 印刷ページ表示

一歩先行くモデル都市に

 ~市民総参加で活動好循環~

 愛媛県西条市が内閣府の2021年度『SDGs(持続可能な開発目標)未来都市』と『自治体SDGsモデル事業』をダブル受賞した。「狭き門」といわれるモデル事業に認定されるのは、四国では松山市に次いで2例目となる。玉井敏久市長は、「市民総参加でチャレンジする」と意気込む。「行政主導から市民と共創していく考えにシフトしなければいけない」と語る玉井市長に、人と活動が好循環を生む持続可能なまちづくりの方向性を聞いた。

 西日本最高峰の石鎚山系からの伏流水の恩恵を受け、「自然豊かで風光明媚(めいび)な都市」と評価する一方、「果たしてそれだけで生活ができるのか」と疑問を投げ掛ける。背景にあるのが人口減少や少子高齢化の加速で、「コミュニティーの継続や担い手不足、森林資源の保全などさまざまな分野に派生している」と危機感を募らせる。

 モデル事業で提案し、環境・社会・経済の三側面をつなぐ総合的取り組みの中心を担うのが『LOVE SAIJOポイント』だ。「前身は、健康寿命を伸ばして医療費を削減する目的で始めたもの」と明かす。配布した歩数計の値をポイントに交換して、現物商品と交換できるいわゆる仮想通貨で、いまでは全国的にそう珍しくない仕組み。これをSDGsモデル事業の具体策に落とし込むために「バージョンアップ」する。

 市民全員が参加するため、「誰もが分かりやすいもの」をキーワードに挙げる。そのために開発に乗り出したのが『(仮称)SDGsingメーター』だ。「その場の授受だけで完結していたポイントに循環機能を持たせ、地域活動を維持する」ことで、市民総参加でトレードオフを解消する。こうしたシステムは全国初で、「達成度を可視化すれば子どもでも理解し、ワクワク感につながる」と期待する。

 2004年に2市2町が合併した同市。「類似自治体と比べて1・6倍も多い」という公共施設は、規模を抑えつつ利便性を高める「縮充」に動き出す。『(仮称)ひと・夢・未来創造拠点複合施設』はそのリーディングプロジェクトであり、三側面の1つである経済を「SDGsの17ゴールのうちの「11.住み続けられるまちづくりを」に結び付けて、課題解決に導く」

 「取り巻く環境は過渡期を迎え、いまここでやっておかなければ」との思いは強い。「人口減少は大前提」とした上で、「(在住者と移住者、関係人口を合わせた)活動人口にこだわりたい」とも。職員には『勝ち残るまち・西条』を掲げるが、「部分最適でなく、全体最適を目指す。その意味でも、ほかの自治体より一歩前を歩くモデル都市として今回のチャレンジがある」と未来を描く。

 

インタビュー様子