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iJAMP掲載記事(平成29年5月22日)

ページID:0036556 更新日:2017年5月30日更新 印刷ページ表示

トップインタビュー

  ~産業振興とシティプロモーション、地方創生の要に~

 愛媛県東部に広がる道前平野に位置し、北に瀬戸内海、南に西日本で最高峰の石鎚山を擁する西条市。北部の臨海工業団地にはエレクトロニクス、造船、鉄工、機械製造などの大手企業が工場を構え、四国で屈指の製造品出荷額を誇る。南部は林業が発達。平野部には四国最大の経営耕地面積を有し、農業産出額は142億円に上る。昨年11月に就任した玉井敏久市長(たまい・としひさ=53)は「地域活力の源泉は産業にあり」と考え、産業振興とシティプロモーションを地方創生の要に位置付けている。

 このうち産業振興をめぐっては、「地域産業資源を活用した競争力強化・新産業創出プロジェクト」が昨年12月、内閣府から地域再生計画の認定を受けた。西条産業情報支援センターを核に地域が有する支援機能を用いて、水素エネルギーなど次世代分野の新たな産業の創出を目指す。

 林業関係では、直交集成板(CLT)を活用した新ビジネスの展開などを支援することで活性化を推進する。市内には、全国初となる原木からCLTを一貫生産する製造工場の建設が進められており、2018年中に本格稼働する予定だ。

 CLTは一般の木材より燃えにくく、強度に優れる一方、コンクリートよりも軽くて加工しやすいため、建設工期の短縮や工事費の削減を見込める。工場の稼働後は、地域の林業を取り巻く環境が大きく変わると予想されることから、「この機会をチャンスと捉え、林業の再構築を図りたい」と意気込む。

 一方、公約である「つながり広がる西条」の実現に向け、シティプロモーションに力を入れる。その背景には「地域間競争、都市間競争が求められている時代に、地域の魅力をアピールできないと取り残されてしまう」という危機感がある。「移住・定住や観光などの面で『選ばれるまち』になるためには、自治体自らが地域資源や魅力を発信していくことが不可欠」と強調。「『勝ち残り』のためには当然、政策内容が問われるが、魅力的な政策を実施しながら、どんどん市の内外に発信していきたい」と意欲的だ。

 広域連携によるシティプロモーションへの意識も高い。昨年12月には「石鎚山系の魅力発信及び持続可能な資源とする事業」が地域再生計画の認定を受けた。石鎚山系という共通の観光資源を有する愛媛県久万高原町、高知県いの町、同県大川村と連携。地域の魅力発信や観光振興、自然環境の保全などに関する取り組みを共同で進める。こうした広域連携の構想は、市長就任前の県議時代から温めていたという。「広域連携で意識すべきは県境ではなく、環境を共にする生活圏だ」と力説する。

 近隣する新居浜、四国中央両市とは、産業や観光のPR事業で連携する。3市とも工業を中心とする「ものづくり産業」が盛んで、その共通点を生かし、合同で就職説明会を開いたり、観光情報を発信したりしている。「経済圏を共にする3市が同じ方向性で圏域の向上を目指し、連携していきたい」。地場産品の販路拡大に向け、大阪事務所を4月に再開。将来的には新居浜、四国中央両市にも賛同を求め、「東予大阪事務所」としたい考えだ。

 4月の組織改正では、経営戦略部を新設した。部内にシティプロモーション推進課を設け、地域にある資源や技術を活用した商品・サービスを売り出す「ローカル・ブランディング」に取り組む。

 「選ばれるまち」の実現に向け、職員には意識改革を強く求めている。「役所は企業と一緒だ。市民の皆さんをお客さまと考えれば、顧客満足度を上げていかなければならない」と強調。「そのためには、より高度で高品質なサービスをいかに低コストで提供できるかを、全職員が考えなければならない」と説いている。

【横顔】 西条市出身。両親、妻と4人暮らし。30余りの自治体や民間企業が参加する「シティプロモーション自治体等連絡協議会」の副会長を務める。

【市の自慢】 おいしい水。日本名水百選にも選ばれた石鎚山の伏流水が自噴する「うちぬき」は、市内に3000カ所以上ある。江戸時代から続く「西条祭り」は、約150台のみこしや太鼓台が列を成し、市内を練り歩く。

 


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