ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 市長の部屋 > ガバナンス掲載記事(令和2年1月1日)

ガバナンス掲載記事(令和2年1月1日)

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年2月1日更新

「ワクワク度日本一のまち西条」の実現を

”「あれかこれか」の選択で、「低負担高福祉」から「中負担中福祉」を目指していく。”

 

地方創生のポイントは「ひとと仕事の好循環」

 

――「甦れ西条!ワクワク度日本一宣言」と題したマニフェストを掲げて西条市長に当選して3年。まず、これまでの取組みの手応えは?

 西条市は、「地域活力の源泉は産業にあり」と標榜している。地方創生のポイントとなるのは、ひとと仕事の好循環だと思っていて、産業が活発になれば、その還元が市民の皆さんにもたらされる。

 その中で新たな発想で、西条の地域資源、フィールドを生かした起業支援に力を入れてきた。西条は地域おこし協力隊のスキームを使っていなかったが、このスキームで、起業、生業を起こすものをしていこうと、Next Commons Lab西条と連携して農業や食品、ベトナムとの連携などのプロジェクトを担う若い人材を募集した。彼らがフィールドを生かして起業し、将来定着し、そこから新たな雇用につながれば、と少し欲張りな構想を描いているが、起業版の地域おこし協力隊が食や農、スポーツアクティビティなどにチャレンジしてくれている。

 そのがんばりが、地元の商業者などに刺激をもたらし、彼らに負けたくないと一段とギアが上がって精力的に活動している。「紺屋町dein」という起業家の拠点施設もでき、そこへ集って若手が起業のノウハウなどを盛んに議論している。そういうことが積み重なっていくと、冒頭のひとと仕事の好循環につがっていくと思っている。

――若い人がチャレンジできる雰囲気、場があるかどうかは大きなポイントですね。

 そう思う。西条に来れば、何か新しいことに一緒に取り組めるという雰囲気が高まってほしい。

――西条市は製造品出荷額が7197億円(16年)で四国2位、経営耕地面積が4313ha(17年度)で四国1位と、四国屈指の工業・農業都市ですね。

 工業・農業がともに盛んなことは誇らしく思う。そこで総合6次産業都市を目指すということになっていく。これは亡くなられた前々市長が取り組んできたことだが、工業・農業の両面を持っているからこそできたことだ。

――1期の地方版総合戦略自体は、市長が就任する1年前につくっているが、人口の将来予測については結構厳しいですね。

 2045年の本市の将来推計人口は7万8307人、高齢化率は42.76%とかかなり厳しい。西条市では35歳までの人口流出が多い。そのため、子どもの頃から西条のまちに誇りと愛着を持ち、地域を良くしたいと思う心を育てなければいけない。また、自然増が望めないなら、社会増に力を入れようと移住施策を積極的に展開している。

――出生率は比較的高いですね。

 西条市の出生率は1.72(08~12年)で県内の市では2番目に高い。子育て環境を移住希望者は当然意識しているので子育て環境や教育は力を入れていくポイントになる。

 

「オーダーメイド型移住体験ツアー」が好評

 

――18年度の移住者は289人と前年度比約3倍となった。

 移住促進策は、待ちの姿勢ではだめ。東京をターゲットにし、在京のテレビで西条の情報を取り上げてもらうなど、企業とも連携を図りながら、西条市をまず知ってもらい、露出度を上げることに注力した。

――宿泊費・交通費・食費ゼロ、希望者のニーズに合わせた1泊2日の「オーダーメイド型移住体験ツアー」が好評だとか。

 そうなんです。そのことで西条市を認知してもらえる。また、宝島社の2019年版「住みたい田舎」ベストランキングで、西条市は「若者世代が住みたい田舎」、「自然の恵み」の2部門で全国第5位となった(四国エリアでは全5部門で1位)。完全オーダーメイド型の移住体験ツアーも丁寧な対応が非常に好評で、それも相まって移住者が増えているのではないか。また、西条市では先輩移住者が、西条の欠点も含めて事前に生の声で伝えている。それを踏まえて選択してくれていると思う。

 私もびっくりしたのが、カフェを開くと若い夫婦が移住し、そこに農業をしたいという移住者がきて、無農薬の野菜をそのカフェに提供するという移住者の中でネットワークができていること。移住者同士のコミュニティ、コミュニケーションが好循環で回り出している。

――一方で、地元の受け入れ態勢は?

 そこは正直、悩ましいところがある。西条市で小学校が廃校になったところ、なんとか維持しているところがあり、この違いを見れば一目瞭然とタウンミーティング等で説明している。すると、「そうだよね」という地域もあれば、まだ危機感の薄い地域もある。

 

「市民主役の西条」の実現に向けて、地域自治組織を設立

 

――西条市では「市民主役の西条」の実現に向けて、概ね小学校区ごとに自治会等を再編する地域自治組織の設立を進めていますね。

 そうです。市長職に就いて改めて、地域では高齢化が進み、役員のなり手が乏しくなっていると痛感した。自治会の加入率も上がらないし、むしろ役ができないからと高齢者のほうから自治会を抜けていく。婦人会も組織をキープできないところがある。そこで地域の組織を変えていかなくてはいけないと、地域自治組織の設立を進めている。しかし、これは行政側からの押し付けではなく、地域側からの盛り上がりを待っている。

 その代わり、さまざまな種まきはしている。地域の将来人口推計を示し、「これだけ人口が減っていくと、皆さん自身がしんどくなる。地域が抱える課題を協働によって解決していきませんか」と呼びかけている。校区によって温度差があり、市報等を通じて情報発信すると危機感を持ち、「1回話を聞かしてくれんやろか」となり、徐々に「やりたい」という自治会が増えた。先行モデルの2校区に5校区が加わり、全25校区のうちの7校区で地域自治組織に向けて動きがある。

――西条は校区によって人口や高齢化の差が激しいですね。

 いわゆる増田レポートで西条市が消滅可能性都市にならなかったことでほっとした半面、新たに作った自治体シンクタンク(自治政策研究所)で地域別(小学校区)ごとに検証したところ、25校区のうち半数以上の15校区が消滅可能性地域であることが分かった。オープンデータ化して、市民に配り、将来の地域のあり方を考えてほしいと要請している。

――自分たちで活性化させていこうという気持ちが求められますね。

 最終的にはこの地域自治組織に財源も権限も委譲し、人も配置して、地域コミュニティ活性化の核にしていきたい。組織の費用を捻出するための稼ぐ活動や、地域の困りごとの解決に報酬を支払う仕組みがあってもいい。

 先行している地域では、校区に商店がないため他の地域への買い物ツアーを行っている。するとおばあちゃんたちはうれしくてたまらない。今度はコンビニが移動販売車をその校区に入れてくれるようになった。私はその校区の人たちに「移動販売車を地域で守り、育ててください」とお願いしている。

 

「低負担高福祉」から「中負担中福祉」へ

 

――一方で全国的にコンパクトシティ化の流れがある。中心部に公共施設等を集めることと、各地域とのネットワークを両立させるのは非常に難しいですね。

 そうですね。西条市は2市2町で合併しているので、同じような施設が4つある。それが老朽化し、更新時期を迎えている。私はこの2市2町を1つのまちにしたいと思っているが、いまだに、感情のしこりというか地域間の違いがある。

 西条市は16年11月に合併したが、行政サービスはいいほうに合わせる形でスタートし、それが今日まで続いてきた。そこで自分でも覚悟を決めて、「これでは西条市の財政はもうもたない」とタウンミーティングで市民に訴えている。

 財政面では、「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」の選択であり、「低負担高福祉」からサービスは少し落ちるけれども「中負担中福祉」を目指していくと市民の皆さんには繰り返し伝えている。そのことによって、よりコンパクトな機能的なまちにしたいと思っている。

――合併算定替えで西条市は約10億円の交付税が減る。行政サービスが落ちたり、負担が増えると、市民は合併して悪くなったというイメージを持ちがちでは?

 そうなんです。20年4月から、各種使用料の改定、上水道、下水道料金の見直しも行う予定で、公共施設の更新についても取捨選択し、向こう40年間で延床面積20%の削減が必要と試算している。市民には嫌われるかもしれないが、持続可能なまちづくりのために必ずやっていかなければいけない。

――首長は選挙があるが。

 そうです。けれどもいま行財政改革に取り組まなかったら、子どもや孫たちの世代に西条のまちを渡せないという覚悟ができた。

 

中四国初の自治体シンクタンクで自前の政策立案を

 

――ところで3年前の市長選では、非常にわかりやすいマニフェストを掲げて戦った。

 西条ではそれまでマニフェスト型選挙をしてこなかった。公約は、「市民の皆様との約束です」と選挙戦でも強調した。これから目指す姿5項目に具体的な政策を各項目に5つずつ、計25項目の政策を掲げた。

――マニフェストの進行状況のチェックは?

 部長級以上による庁議を毎月末に開催し、ここでチェックをして、進捗状況の管理をしている。

――自治体シンクタンクは、市長になる前から考えていたのですか。

 市長になる前から、自分たちのまちにあった政策を企画立案できる組織が必要だと思っていた。中四国初となる自治体シンクタンクで、若手の職員が熱心に調査研究に取り組んでいるので、いい政策は市の政策として取り入れていきたい。

――今後の職員に求められる能力、市長が期待したい点は?

 政策の形成能力を持ってもらいたいし、もっとチェレンジする姿勢がほしい。その環境をつくれるように私もマネジメントしたい。

――市長は県議経験があるとはいえ、民間から市役所のトップになった。

 私は労働組合の役員として四国各地を回ったが、組合費で食べさせてもらっていた。組合の専従期間は6年間で、組合員のために何ができるのか、何をしなくてはいけないかを学んできた。その後、県議会議員になり、会社が伊方に原子力発電所を持っているので県との連携などが入ってきて、いろんな立ち振る舞い方を学び、人とのつながりもできてきた。いまは市民に食べさせてもらっているわけで、市民のために何ができるのか、何をしなければならないのかを常に考えている。これまでの経験が今の市長職に生きている。