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西条市自治政策研究所は、中四国地方の都市が設置した最初の自治体シンクタンクで、2017年11月に活動を開始しました。
「人口急減・超高齢社会」を迎える中、西条市が直面する政策課題について徹底的に調査分析して課題解決に向けた提言を行うとともに、次世代を担う政策形成能力に秀でた市職員を育成することを目的としています。
自治体シンクタンクは、地方分権一括法が施行された2000年前後に、大都市近郊の自治体で多く設置されました。近年では都市間競争が激化したこともあり、その流れが大都市圏から遠く離れた自治体でも広がりはじめています。西条市自治政策研究所では、次の3点に着目し、設立に至りました。
地方分権改革が進展したことに伴い、自治体が独自の政策を打ち出して競い合う都市間競争が激しくなりました。また、近年は人口減少時代に突入したことで、住民自らが好ましい行政サービスを提供する地域に住所を移そうとする「足による投票」が注目されるなど、都市間競争はさらに激化する傾向にあります。
住民ニーズの多様化や市町村合併による広域化に伴い、自治体の事務量は増加し続ける傾向にあります。一方で、社会保障費の増大や公共インフラの老朽化などを背景に財政状況は一層厳しくなるなど、今後も財源と人的資源が限られる中、増え続ける業務に立ち向かっていかなければない状況にあります。
自治体の企画部門は、高度経済成長期に自治体行政が多様化した流れを受け、1960年代後半に登場しました。しかしながら、近年では住民ニーズの多様化や市町村合併による広域化に伴い、多くの自治体で企画業務が多様化しています。さらには、首長マニフェストが登場したことで、いかに首長マニフェストの具現化に向けて対応してくのかという点も大きな課題となっています。
西条市自治政策研究所は、次の3点を心がけて研究所運営に取り組んでいます。
シンクタンクといえば研究活動に没頭し、その成果を政策に反映することが難しいイメージがあります。
本研究所では、調査研究活動の対象を「市長マニフェストに掲載されている事項」「市長特命事項」「西条市にとって将来的に有益となる調査テーマ」の3点に絞り込み、それらの中から具体的な調査研究テーマを設定して、現実的に成果創出が可能となる調査研究に取り組んでいます。
シンクタンクといえば運営費が高額で、財源に乏しい地方都市が設置するのは難しいイメージがあります。
西条市は人口約10万人の地方都市ですが、本研究所は自治体組織の一部として設置する内在型の自治体シンクタンクとして運営しており、財源に乏しい地方都市でも経営していくことが十分可能です。
シンクタンクといえば有能な専属研究スタッフを多く抱えているイメージがあります。
しかしながら、本研究所に所属するスタッフは、指導・助言をいただく有識者を除いて全員が自治体職員です。普段から自治体業務を経験している市職員がスタッフとして調査研究に携わることで、現実的に実現可能となる研究成果を創出することが可能となります。
また、研究成果を創出することのみならず、都市間競争に打ち勝つために必要となる若手・中堅職員の政策形成能力の育成を同時に達成することが可能となります。