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加茂川河口 生きもの調査 結果報告(平成27年9月26日実施)

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月11日更新

西条市地域連携保全活動計画策定事業
加茂川河口 生きもの調査 結果報告

 平成27年9月26日(土曜日)、加茂川河口干潟で生きもの調査(市民参加型)を行いました。

干潟の多様な機能

はじめに ~今回の調査地について~

 日本列島の沿岸域は、生物多様性がきわめて高いことが特徴です。とりわけ陸と海の移行帯は、干出時間の差異・地形・底質・淡水の影響などの環境条件が多様なために、さまざまな底生生物が生息します。
 干潟がなければ、沿岸生態系には大きな負荷がかかります。干潟最大の機能は、河川から流れ込む有機物や栄養塩を蓄積することです。また、有機物や栄養塩は干潟にすむ生きものたちの食物連鎖によって処理されます。干潟に住む底生生物は、干潟環境においてきわめて重要な役割を持ちます。
 干潟は海の「水処理工場」としての機能を持っています(「干潟生物の市民調査」調査リーダーの手引き2011 抜粋)。

3回目となる加茂川の干潟調査

 西条市には、貴重な干潟が残されています。加茂川河口干潟にどんな生きものがどのくらい生息しているかを調査するべく、3回目となる「市民参加型 生きもの調査」を行いました。調査方法は「干潟生物調査ガイドブック ~東日本編~」に則って行いました。調査リーダーは西条自然学校 山本様、光澤様、専門家として高知大学教育学部 伊谷准教授にもご参加いただきました。

調査の様子

調査説明  調査の様子

採取した生きもの  結果確認

調査結果

表層(S)底土中(B)合計(S+B)
No. 発見班数発見率(%)発見班数発見率(%)発見率(%)優占度
紐形動物門      
ヒモムシ類 spp.00.0 8100.0 100.0 +++
軟体動物門      
58ウミニナ112.5 00.0 12.5 +
100ゴマフダマ675.0 112.5 75.0 +++
113イボニシ225.0 00.0 25.0 ++
118アラムシロ337.5 112.5 50.0 ++
214シオフキ337.5 787.5 87.5 +++
218サビシラトリ00.0 112.5 12.5 +
225ユウシオガイ00.0 450.0 50.0 ++
233オチバガイ00.0 675.0 75.0 +++
253アサリ225.0 787.5 100.0 +++
265マテガイ562.5 8100.0 100.0 +++
271ソトオリガイ00.0 112.5 12.5 +
環形動物門(多毛類)      
274チロリ科 Glycera属 spp.00.0 562.5 62.5 ++
300ギボシイソメ科 spp.00.0 562.5 62.5 ++
306ムギワラムシ(棲管のみ)00.0 112.5 12.5 +
多毛類(種不明) spp.00.0 225.0 25.0 ++
ユムシ動物門      
330ユムシ00.0 112.5 12.5 +
節足動物      
338シロスジフジツボ112.5 00.0 12.5 +
339タテジマフジツボ112.5 00.0 12.5 +
アミメフジツボ112.5 00.0 12.5 +
ヒサシソコエビ科 sp.00.0 225.0 25.0 ++
コツブムシ科 sp.112.5 00.0 12.5 +
エビヤドリムシ科 sp.00.0 112.5 12.5 +
381イソテッポウエビ類 sp.112.5 00.0 12.5 +
382エビジャコ類 spp.112.5 225.0 25.0 ++
384ニホンスナモグリ112.5 787.5 87.5 +++
390テナガツノヤドカリ112.5 450.0 50.0 ++
394ユビナガホンヤドカリ675.0 562.5 87.5 +++
397マメコブシガニ225.0 112.5 25.0 ++
404ガザミ00.0 112.5 12.5 +
405イシガニ112.5 00.0 12.5 +
417トリウミアカイソモドキ225.0 337.5 50.0 ++
422イソガニ225.0 00.0 25.0 ++
424タカノケフサイソガニ337.5 337.5 62.5 ++
427ヒライソガニ450.0 00.0 50.0 ++
451コメツキガニ450.0 450.0 75.0 +++
457オサガニ225.0 00.0 25.0 ++
458ヤマトオサガニ112.5 562.5 75.0 +++
棘皮動物門      
488ヒモイカリナマコ00.0 112.5 12.5 +
魚類       
ヒメハゼ225.0 225.0 50.0 ++
 ヒモハゼ112.5 337.5 50.0 ++

調査地域:加茂川右岸先端

調査日時:2015年9月26日 15時00分~17時00分

No.は干潟ベントスフィールド図鑑(日本国際湿地保全連合)の生物種通し番号

8班(ひと班1~4名)で実施

合計(S+B)は、SとBを区別せずに合計

優占度:+++,優占種(発見率70%以上)

      ++,普通種(70%未満、10%あるいは発見者数2 以上)

            +, 少数種(10%未満あるいは1班だけの発見)

伊谷准教授(高知大学教育学部)のコメント

はじめに ~今回の調査地について~

 今年も市民調査を行うことができ、参加していただいたみなさま、準備してくださったみなさまに感謝いたします。今回の調査地は加茂川右岸側の干潟で底質は砂泥からなっています。前回は加茂川左岸側で泥に足を取られながらの調査でしたが、今回の底質はやや砂質が多くて歩きやすかったと思います。今回の調査でも前回と同じ、40種あまりの動物が記録されましたが、その構成種は、昨年の調査と比べて15種以上も異なっており、加茂川の右岸と左岸で生物相が異なることを実感していただけたのではないかと思います。

 今回の調査でも、日本ベントス学会が作成したレッドデータブックで「準絶滅危惧」と指定された種が9種採集され、さらに、絶滅の危機が増大している「絶滅危惧II類」にランクされる種が1種、近い将来に野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類」にランクされる生物も1種採集されました。絶滅危惧I類やII類の生物はとくに保全の対象として万全の注意を払う必要がある生物です。今回は、レッドデータブック(日本ベントス学会,2012)に掲載されている種を中心に解説いたします。

ゴマフダマ

 ゴマフダマは、殻長3cm程度のタマガイ科の巻貝で、殻は丸くてつやつやで、ゴマを散らしたような模様が見えます。タマガイ科の貝は、二枚貝などの殻に小さな孔をあけて食べる捕食者で、ツメタガイという種が最も普通に見られるのですが、加茂川ではゴマフダマが多く、6班(75%)が見つけることができました。本種は、日本ベントス学会(2012)に掲載された山下博由さんの記述によると、「瀬戸内海では、かつて全域に分布したとされるが、現在は、岡山県笠岡市・愛媛県西条市・広島県江田島・周防灘に生息するのみ」と、生息地が激減していることが分かっています。本書に掲載されている巻貝類(軟体動物腹足綱)は263種いますが、そのうち絶滅種が1種、絶滅危惧IAが16種、絶滅危惧IB類が25種となっています。ゴマフダマが絶滅が危惧される種のなかで、どれだけ高ランクに位置しているか、お分かりいただけたでしょうか? それだけ加茂川河口の干潟が大事な生息場所となっていることを、もっと多くの市民の方々に知っていただけたら、と思います。 

ムギワラムシ

 ムギワラムシは、ツバサゴカイ科の環形動物で、砂と粘液を使って自ら羊皮紙状の棲管を作ってその中に住んでいます。その棲管は40cmの深さにも達するとも言われていますが、よく調べられていません。この棲管のおかげで捕食者対策は十分にできているのでしょうが、干潟の減少と環境の悪化には勝つことができず、全国的に姿を消しつつあります。この調査では、本体は採集されませんでしたが、棲管が見つかりましたので、本種の生息は明らかです。ムギワラムシの棲管にはヤドリカニダマシという、やはり絶滅危惧II類にランクされる甲殻類が共生していることがあります。共生者ともども、その生息状況を確認する必要があります。

二枚貝

 調査中には採集されませんでしたが、みなさんの集合前に予備調査をしたところ、ムラサキガイというシオサザナミ科の二枚貝も採集されました。本種も絶滅危惧II類にランクされる種で、殻長12cmにもなり、長い水管を伸ばして地中深くに潜っています。砂泥深くに住む生物を採集するための特殊な器具を使って採集することができました。今回の市民調査の方法では、せいぜい深さ30cm程度の生物しか採集できませんので、今後は地中深くの生物の調査方法を考える必要がありそうです。同じ科に属するオチバガイという二枚貝は、殻長3cm程度ですので、この調査で見つけることができるものです。今回、6班(75%)が見つけることができましたので、加茂川右岸の河口干潟には多く生息していることが分かりますが、オチバガイも水質悪化などにより準絶滅危惧にランクされている貴重な種です。前回の調査では見つかりませんでしたので、加茂川河口干潟の中で、生息地が限られている可能性もあります。

 同じくサビシラトリというニッコウガイ科の二枚貝も、前回の調査では採集されなかったものです。同じ科に属するユウシオガイとともに、準絶滅危惧にランクされています。ニッコウガイ科はサクラガイの仲間で、細長い入水管を持っています。他の多くの二枚貝が海水に懸濁する植物プランクトンを食べているのに対して、この仲間は砂泥に堆積した底生珪藻やデトリタス(有機物)を細長い入水管を使って掃除機のように吸い取って食べています。

テナガツノヤドカリ

 甲殻類では、テナガツノヤドカリが前回の調査で採集されていない準絶滅危惧の種です。干潟で最も普通に見られるのがユビナガホンヤドカリで、右のハサミ脚が左より巨大化しています。テナガツノヤドカリは左のハサミ脚が右よりも大きいため容易に区別することができます。ヤドカリの多くは腐肉食、雑食性なのですが、テナガツノヤドカリはそれに加えて、羽毛状の毛が生えた第2触角を振り回して懸濁物を食べることができ、干潟環境に適応している種であると言えそうです。本種もかつてはどこにでも生息するヤドカリでしたが、近年減少の一途をたどっています。加茂川河口ではまだたくさん生息しているようですので、今後の推移を見守る必要があります。

おわりに

 最後に、今回の調査で、ユムシを1個体だけ採集することができました。この調査地は、私が12年前にユムシの調査をしていた場所で、当時はその巣穴をそこら中で見つけることができました。12年前にたくさん採集されて、本調査で採集されなかった生物には、ナルトアナジャコという甲殻類も含まれます。ただし、これらの生物が徐々に減ったのか、急に激減したかのかは分かりません。12年前は定性調査であって「どのくらい多いか」という量のデータがなく、また、調査を定期的に行っていなかったからです。どの種が増えてどの種が減ったのかを克明に記録するためには、ある程度定量性のある調査を定期的に続ける必要があります。

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