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民話 小弾兵衛(小団平)の話

ページID:0001589 更新日:2015年1月15日更新 印刷ページ表示

民話

小弾兵衛(小団平)の話

小弾兵衛のいわれ

 江戸時代、小松一柳公の家来に、棚橋伝兵衛種政という人がいました。 身の丈わずか四尺八寸(約145センチ)、それにもかかわらず二尺八寸(約85センチ)の大刀を腰にさして、ぞろぞろ引きずって歩いていました。その長い刀を目にも止まらぬ早業で抜いて、相手を切ってはまた元のさやに納めるという、刀の名人でした。
 小男で、その早業があたかも弾丸のようであったので、小弾兵衛(弾より団の方で通っているので、以下小団平とする)とあだ名されたといわれています。小団平は、殿様にかわいがられていつもおそば近くに仕えていました。


小弾兵衛(小団平)の話-芝居小屋での据え切り

 ある年、小団平は殿様の参勤交代にお供して、江戸に滞在していました。暇を持て余していた小団平は、芝居を見に行きました。他藩の侍も芝居見物に来ていました。一目で「おのぼりさん」とわかる上に、体が小さいので、小団平を馬鹿にして悪さをしかけました。一段低くなっている小団平の頭の上に、たばこの吸いがらを落とします。小団平がそ知らぬふりをしていますので、その侍は何度か同じことを繰り返しました。とうとう腹に据えかねた小団平は、振り向きざま刀を抜いて相手の首を切りました。しかし、例の早業で据え切りをしたものですから、回りの見物客も気がつかず、首を切られた当の侍ですら切られたことを知りません。
 やがて芝居が終わり、木戸をくぐって帰りかけた時、その侍の首がポロリと落ちました。さあ大変、小屋中が大騒ぎとなりました。役人がやって来て木戸止めをして犯人探しが始まります。刀を持った侍たちはみんな刀を抜いて役人に見せますが、サッと抜いて、カチッとさやに納めるその動作があまり早いので、役人にはピカッと光だけで刀身を十分に見ることができません。役人は、もう一度抜いて見せるように頼みましたが、やはりわかりません。三度目もわからず、とうとう小団平を犯人と決めることはできませんでした。

はえ狩り

 ある夏のこと、登城した小団平を待ち構えていた殿様は、「よいところへ参った。今日ははえがおって困るのじゃ。何とかせぬか」とおっしゃいます。「承知仕りました」と答えた小団平は、さっそく例の長い刀を抜いて、しばらく振り回していました。刀の白い光が尾を引いて見えるくらいの早さで、しばらくの間あちらこちらを振り回しています。やがてはえがバラバラと落ちてきました。それを掃き寄せてみますと、集まったはえはことごとく頭と胴が切り離されていたということです。「お殿様の御意に従い、はえ狩りをいたしました。これで少しは減ったと存じます」と言って、涼しい顔をしていました。

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