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民話 生木のお地蔵さん
民話
生木のお地蔵さん
むかし、弘法大師さまが丹原に来られ、四尾山の楠の木の下で休んでおられた時、尊い仏様から「お地蔵様をお彫りして人々を助けるように」とのお告げがありました。
そこで一夜のうちにお彫りすることにしてお経を唱えながら一心にお彫りになりました。おおかた出来て、もう右耳を彫れば出来上がりという時に一番鶏が鳴いてしました。「天邪鬼」(要らんことをする小鬼で人の言行に逆らう意地悪である)がわざと「コケコッコー」と鶏の鳴声を出して邪魔したのでした。
お大師さまは彫るのをおやめになりました。右耳らしい跡はありますが、耳たぶはありません。耳の病気の時「お願」をかけると治してくれました。