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民話 たるもんじさん
民話
たるもんじさん
むかし、高松に大変力の強い人がいました。馬に米を三俵つけて壬生川に行く途中、願連寺まで来ると、「たるもんじ」という百姓が田をすいていて、牛が道へ出たのを「お邪魔じゃのう」と言って犂(すき)の先へ牛をちょいとひっかけて田へ入れた。高松の人も「お邪魔なことはない」と言って馬の腹の下へ肩を入れて、ひょいと担いでよけて通った。
家に帰ってから、たるもんじという人はいかにも力の強い人じゃと思い、自分も犂の先に牛をひっかけて挙げようとしてみたが、どうしても挙がらなかったといいます。