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民話 乳母が懐

ページID:0001583 更新日:2015年1月15日更新 印刷ページ表示

民話

乳母が懐

 国道196号を今治へ向かっていくと、休暇村の坂にさしかかる手前右側に小山があります。昔この山の洞窟に姫と乳母が世をはばかって住んでいました。この洞窟は畳が十枚位敷け、二人が住むには十分な広さでした。
 乳母は大変な知恵者で何事でも困って相談しますと、すぐに解決の手ほどきを教えてくれました。そのうえ有難いことに、里人の家で膳や椀が一度に入用なとき、不足分だけを頼んでおけば、翌朝洞窟の前にその数だけ置かれてありました。
 里人もその恩に感じて、魚貝などをかごに入れ、そっと穴口に置いて帰り、共に睦びあって仲良く暮らしていました。
 ところがある時、よそ者が来て、膳椀を貸して貰っておきながら、わざと石に打ち付けて割って返しました。
 それからというものは、誰の願いも叶えられぬばかりか、村人の信望をあつめていた姫も乳母も、いつのまにやら、洞窟から姿を消してしまったということです。

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