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人権ホットメール2010年7月号
人権ホットメール毎月10日は人権を考える日です
2010年7月号
人権感覚について考える
2008年に文部科学省が「人権教育の指導方法等の在り方」について、第三次のとりまとめを行いました。このとりまとめでは、人権教育を通じて育てたい資質・能力として
- 人権に関する知的理解
- 人権感覚
を上げ、人権に関する知的理解の深化と人権感覚の涵養を基盤として、人権擁護の意識、意欲、態度を培い、さらに実践行動にまで高めていくことの必要性について指摘しています。
今、私たちは、部落差別をはじめとするさまざまな差別や人権侵害が存在する社会で生きています。このことは、「差別の人間関係」に私たちが取り込まれていることを意味しており、多くの場合、そのことを自覚できていません。
なぜならば、部落、女性、障がい者などに対し、昔からそうなっている、みんながしていると、差別が正当化され容認され、今日まで続いている実態があるからです。私は、「差別なんかしていない」「関係ない」という意識を自らの課題とし、差別の当事者性に気付いたとき、初めて主体的、自主的な行動への変容につながるのではないでしょうか。
人権感覚を養うということは、これまでの生活を問い直す中で、自らの差別性に気付き、自分の生き方、あり方を見直すことでもあります。
障がい者問題から、このことを考えてみたいと思います。
車いす体験、目かくし体験などを行って、不便さや困難性を追体験する学習があります。このことにより、障がいの実態を学ぶことができますが、そこで学習を終えていないでしょうか。大切なのは障がいの実態を学ぶということよりも、障がいの実態から何を学ぶかということだと思います。
へレンケラーの言葉に「障がいは不便だけど不幸じゃない」という言葉があります。不幸だと思わせているのは誰でしょうか。障がい者を同情や哀れみの目でみたり、差別するのは誰でしょうか。
障がい者の不安や不利益を生み出しているのは、健常者である私たちであり、健常者中心の社会に原因があるのではないだろうかと、「なぜ今まで気付かなかったのか」「気付いていたけど何もしてこなかった」自分の生き方、考え方を振り返り、自分に何ができるか、自分はどうしたいのか考える営みの中で、人権感覚を養うことが大切ではないでしょうか。
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