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広報専門員の気ままに西条歩き Vol.22三芳地区(前編)
地域のウォーキングレポート第22弾
このコーナーでは、西条市の広報専門員 日野が、市内の校区を一つずつ歩いてレポートしています。
2018年12月12日(水曜日)くもり
冬本番に向けて、寒さが少しずつ本格化する西条市。東予西部の三芳地区を訪れました。
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人口2,354人、世帯数1,085。東予地域の北西部、大明神川の左岸に位置し、地域のほとんどは平坦な土地。JR伊予三芳駅があり、かつては駅を中心にとても栄えた河北地区の中心地。地域は、商店街、住宅地、農地から成る。
まち歩きには、市より発行の「西条市ウォーキングマップ」を利用しています。
いつもは公民館の館長や職員と歩くのですが、今回は力強い助っ人が来てくれました。地元の主婦、渡邉明美さん(左)と河野真弓さんです。高橋館長を囲んで、朝一番からテンション高め!
明美、真弓:「待ちよったよー!今日はよろしく!」
館長:「お二人とも公民館活動のほかにも、地域の活動を積極的にしてくれよるんで、今回お声掛けさせてもらいました」
日野:「(す、すごい元気や)ありがとうございます。ではさっそく行きましょか、よろしくお願いします!」
館長:「まず、三芳駅のほうに行きましょう」
明美:「三芳って言うたら駅は外したらいかんけんね!」
日野:「この道路はどこへ続くんですか?」
館長:「河原津の東予運動公園の近くで国道196号と交わる予定やね」
日野:「ここが抜けるとより便利になりますね」
伊予三芳駅に到着です。2018年の3月に建替え工事が完了し、新しい駅舎(右)とトイレ(左)ができました。トイレは旧駅舎内にありましたが、解体に伴い別々で新築されました。
この伊予三芳駅を愛する住民有志の皆さんが、「伊予三芳駅愛好会」を立ち上げ、こんな看板を設置。
駅の歴史のほか、
- 大明神川トンネル…日本で珍しい天井川トンネル
- 永納山トンネル…古代山城遺跡
- 小松・今治自動車道…2つのトンネルの上をはしっている高速道路
と、全国的にも珍しい駅の「三つの宝」を紹介しています。
このトンネルについては「国安編」でも触れています。
駅の正面には、1階が広い空間になった四角い建物がいくつか。
真弓:「この建物はねー、自転車預かり所だったんよ!」
昔は、今のように学生だけでなく、多くの人が通勤に鉄道を利用していました。駅前の自転車預かり所を営む店に、所狭しと自転車が停められていたそうです。
この頃の様子は、2017年にNHKの「にっぽん縦断 こころ旅」でお手紙とともに紹介されました。にぎやかな昭和の光景が思い起こされる、とてもすてきな手紙です。
駅から戻り、今日は駅前通りの「県道徳能伊予三芳停車場線」を通ります。
小さな用水路を渡る「曲手川(まがりてがわ)橋」。時々、長雨で川の水があふれそうになることもあるそう。
ここに昔はあれがあった、郵便局は移転する前にここにあった…など、明美さんと真弓さんが息つく暇なく教えてくれます。さすが三芳の住人ですね?
真弓:「私は三芳で生まれ育って、結婚を機に隣の国安に越したけどね、今はまた三芳におるんよ」
明美:「私は結婚を機に三芳に嫁いできたんよ。商店街でお店をしてたんやけど、先日閉めてね。今は少しゆっくりしながら、やりたいことをやりよる感じ」
高橋:「元気なお二人にとても助けられよんよ」
日野:「三芳に欠かせない存在ですね。今日は地域のこと、いっぱい教えてもらわないと」
茎田医院の西側に、「さえの神さん」というお社。お掃除中の行本 修さんがいました。
行本:「今夜はちょうどこの、さえの神さんの年に一度のお祭り。そこ(近く)の三芳北集会所に掛け軸をかけて、皆で集まって拝むんよ。さえの神は『塞の神』と書いて、地域の境におかれ、悪い霊がはいってこんようにしたと言われとる」
背後の看板には
「大きいねえ~」
振り返ると、明美さんと真弓さんがと、くすの木の幹の太さを両手を広げて測っていました。
信号で南へ左折し、小学校などのある商店街方面へと向かいます。
明美:「ここ(左の建物)はねー、布団や綿屋さんだったんよ!」
今では減ったたばこの自動販売機。「国産」「外国」で分けられているものは初めて見ました。もう一箱も売っていませんが…
三芳村役場がかつてあったJA周桑三芳支所の敷地奥に、
マップのチェックポイント(1)毘沙門堂があります。
JAの斜め向かいには三芳小学校があります。西条市内に小学校は25ありますが、ここまでわかりやすく商店街に面した学校はここくらいかもしれません。
館長:「今年で120周年なんよ」
そう、三芳小は、明治31(1898)年に三芳村と楠河村の子どもたちが通った楠小学校から分離独立する形で開校し、2018年に開学120周年を迎えたところでした。めでたい!
ここでも、「ここは魚屋だった」「この倉庫の奥で黒砂糖を作りよった」「ここはお醤油屋さんで、前を通ると匂いがしよった」と明美さんと真弓さんが口々に思い出を語ってくれます。
ああ、その頃の三芳を歩いてみたい!
日野:「楠河で聞いたんですが、河北地区の中で楠河は“海”、庄内は“山”、ここ三芳は“里”という風に言ったみたいですね」
真弓:「そうよね。里とか、まちの子とか。そりゃ、やっぱり、栄えとったけんね」
この「そごうマート」さんはこちらが本店で、お昼前にしてはにぎわった様子。
その駐車場の裏には、数年前にオープンしたパン屋さんもあります。
昔ながらの街並みのなかで、若い人が新しいことを始める様子は見ていて応援したくなります。
明美:「蘭丸~!」
介護施設の前を過ぎると、とってもかわいい柴犬がいたり、サッカーで世界的に活躍する西条市出身の長友佑都選手(2019年1月現在 スュペル・リグ・ガラタサライ所属 )が育った家のあたりを案内してくれたり。
大きな塀の向こうには、日本酒の酒蔵、武田酒造さん。「日本心(やまとごころ)」を中心に銘酒を生み出しています。
お二人が声をかけてくれ、武田𠮷雄さん(左)と息子で杜氏の昇三さん(右)が出てきてくれました。
明美:「昇ちゃん、ほら、笑って笑って!」
武田酒造さんは、創業明治37年。武田家では、「逆膳」といって、配膳の際に、相手が食べることを配慮して、膳を逆にして差し出すように、相手の事を考えて行動しなさいと言い継がれています。
事務所に入れていただくと、「膳」の字が逆さまになった書を目にすることができました。
日野:「わ!『逆膳』だ」
武田昇三さん:「撮影して大丈夫ですよ。年明けから仕込みが本格的に始まります。いいお酒ができるよう、またがんばります」
武田酒造さんほか西条市内の酒蔵の様子は、こちらでも紹介しています。