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「ヒートショック」とは、急激な温度変化がもたらす血圧の変動によって、体に悪い影響を与えることです。もともとはハウスメーカーなどが使っていた言葉のようですが、医学的な用語での「ヒートショック」とは、意味は異なります。
たとえば冬の寒い日にお風呂に入るときのことを想像してみてください。
エアコンで温まった部屋から、凍えそうなくらい冷えきった脱衣所に行き、さらにその後、熱い浴槽につかります。
このとき私たちの体は、急激な温度の変化に対応しようと、血圧を上げたり下げたりします。ところがこうした体の働きが、反対に体への負担となってしまうのです。
心筋梗塞や脳卒中を引き起こす、また浴槽内で失神するなど、一歩間違うと命を失ってしまうほどの危険な事態となってしまう可能性があります。
「ヒートショック危険度簡易チェックシート」でセルフチェックをしてみてください。以下の10項目であなたに当てはまるものを数えてみてください。
さて、あなたはいくつ当てはまりましたか?
当てはまるものが多ければ多いほど危険が高いと言えますが、目安として5個以上にチェックがついた場合、「ヒートショック予備軍」と診断します。
冬の寒い時季だからこそ起こる「ヒートショック」。
日本気象協会が掲載している、「ヒートショック予報」を活用しましょう。
「ヒートショック」を防ぐために、次のような6つの工夫と対策をオススメします。
■温かい部屋と脱衣室の温度差は5℃以内が◎!
温かい部屋と脱衣所の温度差は、できることなら5℃以内が望ましいといわれています。脱衣所や浴室に暖房機能が設置されている場合は、ぜひ活用しましょう。暖房機能がない場合は、脱衣所に暖房器具を置いて室温を上げておくのもOKです。ただしその場合、火事ややけどなど安全には十分注意してください。また、入浴前は浴槽のふたをはずしておいたり、シャワーでお湯をはるなどして、湯気を充満させて浴室内を温めておくことも有効です。
■湯温を設定しておく。できれば湯船の温度は41℃以下に!
湯船の温度は41℃以下で、浸かる時間は10分までがおススメです。湯船の温度が42℃以上になると長く浸かれず、5分浸かった場合に温まるのはカラダの表面だけです。逆に、42℃以上で10分以上浸かった場合は、脱水症状を起こすなどの危険があります。こうした点から、湯船の温度は41℃以下にセットし、体の芯から温まることを心がけましょう。副交感神経がとげ激されてリラックスできますよ。
■いきなり湯船に入るのは厳禁。急激な血圧の変化を招くことに!
いきなり湯船に入るのは、急激な血圧の変化を招くことになるため厳禁! 特に高血圧の人などは、血圧が急変するリスクが高まります。すると、意識障害などを引き起こして溺れてしまい、最悪の場合、死に至る可能性もあるのです。
■血圧の急変を防ぐためには、湯船に入る前にかけ湯を!
湯船に入る前には、必ずかけ湯をしましょう。肩や頭にお湯をザブザブかけるのではなく、心臓から遠い足先から徐々にお湯をかけることで、血圧の乱高下を防ぐことができます。少しずつのかけ湯で心臓に負担がかかるのを防ぎ、カラダが湯船に浸かる準備をしていると認識させましょう。
■いきなり立ちあがるのは危険! 湯船から出るときはゆっくり立ちあがる
湯船からいきなり立ちあがるのはとても危険です。血管が広がって貧血状態になるため、立ちくらみを起こす可能性があります。手すりなどにしっかりつかまって、ゆっくり立ちあがるようにしましょう。
■入浴後は、浴室内でカラダの水分を拭きとりましょう!
脱衣所を出る前に、浴室内でカラダの水分を拭きとってしまうのもひとつの方法です。浴室内は湯気で温かいので、カラダを冷やしにくい状態です。バスタオルでカラダを覆い、水滴が落ちない程度に拭いてから脱衣所へ出るようにすると、室温差による影響を受けにくくなります。
入浴前後にコップ1杯の水を飲みましょう!
その他、次のような対策も効果があるといわれていますので、入浴時の習慣としてぜひ取り入れてみてください。
■入浴の前後にコップ1杯の水を飲む
■気温が比較的高い、日没前に入浴を済ませる
■食後1時間以内の入浴はさける