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水の歴史館 水の不思議

ページID:0070212 更新日:2015年1月15日更新 印刷ページ表示

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水の不思議

 水ほど、私たちの周りにあって慣れ親しんでいる物質であり、かつあたりまえに身の回りにある物質は他にはないでしょう。でも、水の性質にはとっても奥深さがあります。ここでは、その例を挙げていきましょう。

その1)
地球上で、いや宇宙空間においても、水(H2O)ほど、モノを溶かす能力のある物質はありません。化学的に解説すれば、水分子は酸素と水素が共有結合(いくつかの価電子を互いに共有しあい安定にする結合)した分子ですが、酸素と水素の電気陰性度(酸素が水素よりはるかに大きい)の違いにより、酸素は+の電荷を、水素は-の電荷を帯びています。そのため、水分子同士は水素結合という形で、お互いを結びつけあっています。この水素結合がさまざまな物質を溶かしやすい原因となっているのです。

 さて、このような難しい解説は、聞き流していただくとして、何が大事かと言うと、最初に述べた、“水ほど、モノを溶かす能力のある物質はない”ということです。例えば、食塩(塩化ナトリウム)は、水100gに35.9g(0℃にて)も溶けます。海水中には3.2~3.4g溶けているだけですから、まだまだ溶ける計算になります。その他、アルコールのような液体を溶かすことも出来ます。つまり、「いのちを支える水」の章でも詳しく説明していますが、“水”のこの性質が、生命を誕生させたといっても過言ではないのです。原始の地球はいろんな物質を水に溶かし、熟成させ・・・、そして、アミノ酸をさらに生命を誕生させたのです。水はまさしく命の母なのです。実際地球外生物探査ではその惑星に水が存在しているかどうかを調べています。

 この貴重な水は“水から見た地球環境”の章でも述べたように、地球上に13~14億km3あると言われています。でもその約97.5%が海水です。海水はご存知のように、塩分を多く含んでいるので飲めません。(水道水の基準では、1リットルに0.2gの塩化物イオンが含まれると飲用不適になります。食塩に換算すると0.33gです。(これは余談ですが、塩分が0.1~0.2%の水が水の吸収効率が良いとされています。喉の渇きをいやすスポーツドリンクはこの濃度の範囲にあります。でも、海水のように多量に含まれている水を飲むと、逆に脱水になってしまいます。)残りの2.5%は淡水ですが、なんとそのうちのほとんどが氷なのです。また、量は少ないですが、そのうちの0.06%が気体ですから、残りは0.03%ちょっとしかありません。さらに、地下に閉じこめられて、利用できない水や汚れてしまって浄化に多額のお金がかかる水も対象外になってしまいます。地下に汚染物質があれば、地下水は簡単に汚れてしまいます。つまり、人口が爆発すること自体で一人あたりの利用できる水は減ってしまいますが、人間活動によるさまざまな汚染によっても、水は使えなくなってしまうのです。先ほど、述べた、“水ほど、モノを溶かす能力のある物質はない”という性質は水質汚染に関してももちろん無関係ではありません。溶けにくい物質でも微量ながら溶かしてしまうからです。

 水は地球を循環しています。水だけではなく、いろんな物質も地球の大気、水域、そして地下の中で循環しています。ご存知のように、水は水蒸気になって、大気中で凝結し雨になります。陸地に降った雨は大地を潤し、地下に浸透し、川や泉から地表に出てくる水もありますが、やがて、海へ戻ります。地下では、土壌粒子の組成によってその流れる速度は違ってきますが、水はゆっくりゆっくり、1年で数百メートル(西条平野の帯水層はもっと早いのですが)と言う速度で海へ向かっているのです。その過程で水は周りの砂や礫あるいはシルトとさまざまなイオンをもらいまた交換しながら下流に流れて行くのです。雨にはミネラルはありません。石鎚連山の瓶ヶ森山頂付近に『瓶壺』という水場がありますが、ほとんどイオンの無い蒸留水に近い水です。(不思議な事に小川の溜水なのに細菌もいないのです。笹の原の抗菌作用でしょうか・・・。)でも、雨水は地下に浸透してゆっくり進むうちに、水にさまざまなイオンが溶けて、いろいろな顔を持つようになるのです。そのひとつの顔が絶妙なミネラルバランスを持った“おいしい水”なのです。全国利き水コンテストで2連勝した、“うちぬき”はまさに、奇跡の水と称されても過言ではないでしょう。

 ただ、先ほども述べたように、地下で起こることは好いことだけではありません。例えば、電子部品や衣服の洗浄に使われているトリクロロエチレンという物質があります。この物質は比重が1.47と水よりかなり重く、かつ粘性が低い(さらさら)ために、誤って土の上にこぼすとあっと言う間に染み込んで、不透水層(粘土等で出来た水を通しにくい層)まで到達してしまいます。また肥料等による硝酸性窒素の汚染も、全国で問題になりつつあります。これらはほんの一例ですが、地下水は地層の中の粒子の隙間にあるわけですから、汚染されるとその改善には大変な時間と経費がかかります。「西條市地下水の保全に関する条例」はこのような汚染を防ぐ目的を持って、施行されました。地下水は一度汚れると、取り返しのつかない事態になるのです。

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