西条市の海岸でも、1950年代までは、たくさんのカブトガニが見られました。愛媛県東予地方では、カブトガニのオスメスが重なっているところから、夫婦仲がよく、縁起のよいものとされており、「カブトガニのちぎり」という言い方も聞かれます。古くは、タイを捕る漁で、その年の最初に網おろしをした時に、カブトガニのつがいがかかれば、その年は豊漁で、しかも家内安全とされ、神棚にお酒を供えて祝う風習があったようです。もし、網おろしの時に一匹だけで、オスメスつながっていないものがかかると、その年は不漁で、縁起が悪いといわれたそうです。カブトガニが当時の人たちの生活と深く関わっていたことが分かります。
しかし、その一方で、漁業の網を破って嫌われたり、家畜のエサ、肥料などにするため、乱獲されていたことも、残念な事実です。
その中で、故篠原栄吉氏は、「カブトガニがすめないようなところは、人間もすめなくなる」とカブトガニと自然環境の保護を訴え、その努力により、本市東予海岸一帯は、1949年、「カブトガニ繁殖地」として、県の天然記念物の指定を受けました。(※写真/記念碑)しかしながら、経済発展に伴う環境汚染や海岸埋立などの影響により、その数も次第に少なくなり、現在ではほとんど姿を見ることができなくなりました。このような中で、本市のカブトガニと自然環境の保護に尽くされた、故篠原伴次先生を中心に、1989年カブトガニの絶滅と環境破壊を危惧する人々が集まり、「東予市(現四国)カブトガニを守る会」が結成されました。カブトガニ研究の権威である静岡大学伊藤富夫教授によれば、「河原津海岸は水質に問題もなく、カブトガニが復活するとすれば、この地しかないだろう」と言われる海岸であり、同会では、幼生放流などの保護活動事業を行っています。
※写真は天然記念物指定記念碑

